大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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Side.N
「今日のは・・・ずいぶんと味が薄いな。」
「・・・そ・・・う・・・?」
「味みたのか?」
「ぅん・・・多分・・・。」
「多分・・・?」
父さんが。
不思議そうに・・・僕を覗き込んだのがわかったけど。
僕はそれどころではなくて。
だから。
・・・。
・・・。
ちゃんと答えられなかった。
夕飯の味は。
うん・・・薄いかもしれない。
だって一度も味見してなかったから。
また。
小さくため息を吐く。
父さんにはばれないように気を付けながら。
・・・。
・・・。
智の家で。
嘘つかれて。
絵を見たくて作業部屋へと向かった僕。
でも。
・・・そう。
見れなかったんだ・・・智の絵。
だって。
鍵が・・・かかっていたから。
あの智の作業部屋・・・鍵が・・・かかっていたの。
いつからかかっているのか・・・は。
全然わからなかった。
もう・・・ここ数週間。
智の作業部屋には入ってなかったから。
だから・・・いつからなのかはわからなかったけど・・・でも。
鍵をかけるっていう行為は。
中に入られないため。
中を見られないため・・・だよね。
じゃあそれは・・・誰に?って事でしょ。
あの家に。
入れるのは智と僕しかいない。
って言う事は。
・・・。
・・・。
そう。
そういうこと。
僕が入らないようにするために。
僕に中を見られないようにするために。
鍵はかけられたんだ。
あれから。
コンクールの日にちを調べ始めた僕。
智が毎年出展しているコンクールとか。
智から聞いた事のある名前のコンクールとか。
イロイロと調べたけど・・・でも。
締め切りが差し迫っているコンクールはなかった。
もしかしたら僕が探せないだけで。
本当はあるのかもしれないんだけど・・・でも。
智が急いで提出しなくちゃいけないようなコンクールは。
僕には見つけられなかった。
じゃあ・・・なんのために。
誰のために描いてるの?
何を・・・何の絵を描いてるの?
もしかしてって・・・思った。
僕の誕生日に。
僕へのプレゼントで描いてくれてるのかなって。
だってもうすぐだから。
うん。
そう・・・思いたい。
そう思いたかったけど・・・でも。
絵のプレゼントは去年もらっているし。
今年は・・・だから違うものかもって思ってて。
って言うか・・・うん。
さっき嘘つかれたから。
だからもう。
何も・・・いいようには考えられなかった。
本当に絵を描いているのかさえ。
もう。
・・・。
・・・。
わからなくなった。
信じたいのに。
智のこと・・・信じたいのに。
信じられなくて。
疑いたくはないのに。
嫌な方向にばかり考えてしまう。
最近忙しいのは。
本当に・・・仕事?
あの日・・・帰りが遅かったのは。
本当に・・・松岡先生と話してたから?
昼間の・・・まいちゃんを思いだす。
「聡の嘘つき。」・・・って・・・そう言ってた。
嘘・・・つき。
・・・。
・・・。
僕達も。
別れちゃうのかな。
そう思ったら。
急に・・・涙があふれて。
止まらなくなった。
最初は・・・それでも。
父さんにばれないように拭いていたんだけど・・・でも。
声が。
嗚咽が漏れちゃって。
どう・・・したらいいのかわからなくて。
ヤダ。
別れたくないって思って。
だって「愛してるよ和。」って。
さっき言われたもん。
信じてる。
智のこと・・・ちゃんと信じてるもん。
なのに。
でも。
・・・。
・・・。
涙が止まらない。
「ぅ・・・っ・・・。」
「和也。」
「・・・ひっく・・・ぅ・・・ぅ・・・っ・・・。」
「どうした。」
父さんがびっくりした声を出している。
でも。
どうにも・・・どうしようもない。
僕は立ち上がり。
そのまま部屋へと駆け込んだ。
.
つづく
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作者のナツコです。
読んでくださって、ありがとうございました。
お話はまだまだ続きます。
毎日0時8時16時に更新の予定でございます。
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです♪