愛情注ぐ理由はいらない~番外編13 | ナツコのブログ

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大宮さんBL前提のお話です。

 

苦手な方はご注意を///。

 

 

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Side.N

 

 

 

 

「今日のは・・・ずいぶんと味が薄いな。」

 

「・・・そ・・・う・・・?」

 

「味みたのか?」

 

「ぅん・・・多分・・・。」

 

「多分・・・?」

 

 

 

父さんが。

 

不思議そうに・・・僕を覗き込んだのがわかったけど。

 

僕はそれどころではなくて。

 

だから。

 

・・・。

 

・・・。

 

ちゃんと答えられなかった。

 

夕飯の味は。

 

うん・・・薄いかもしれない。

 

だって一度も味見してなかったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また。

 

小さくため息を吐く。

 

父さんにはばれないように気を付けながら。

 

・・・。

 

・・・。

 

智の家で。

 

嘘つかれて。

 

絵を見たくて作業部屋へと向かった僕。

 

でも。

 

・・・そう。

 

見れなかったんだ・・・智の絵。

 

だって。

 

鍵が・・・かかっていたから。

 

あの智の作業部屋・・・鍵が・・・かかっていたの。

 

いつからかかっているのか・・・は。

 

全然わからなかった。

 

もう・・・ここ数週間。

 

智の作業部屋には入ってなかったから。

 

だから・・・いつからなのかはわからなかったけど・・・でも。

 

鍵をかけるっていう行為は。

 

中に入られないため。

 

中を見られないため・・・だよね。

 

じゃあそれは・・・誰に?って事でしょ。

 

あの家に。

 

入れるのは智と僕しかいない。

 

って言う事は。

 

・・・。

 

・・・。

 

そう。

 

そういうこと。

 

僕が入らないようにするために。

 

僕に中を見られないようにするために。

 

鍵はかけられたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから。

 

コンクールの日にちを調べ始めた僕。

 

智が毎年出展しているコンクールとか。

 

智から聞いた事のある名前のコンクールとか。

 

イロイロと調べたけど・・・でも。

 

締め切りが差し迫っているコンクールはなかった。

 

もしかしたら僕が探せないだけで。

 

本当はあるのかもしれないんだけど・・・でも。

 

智が急いで提出しなくちゃいけないようなコンクールは。

 

僕には見つけられなかった。

 

じゃあ・・・なんのために。

 

誰のために描いてるの?

 

何を・・・何の絵を描いてるの?

 

もしかしてって・・・思った。

 

僕の誕生日に。

 

僕へのプレゼントで描いてくれてるのかなって。

 

だってもうすぐだから。

 

うん。

 

そう・・・思いたい。

 

そう思いたかったけど・・・でも。

 

絵のプレゼントは去年もらっているし。

 

今年は・・・だから違うものかもって思ってて。

 

って言うか・・・うん。

 

さっき嘘つかれたから。

 

だからもう。

 

何も・・・いいようには考えられなかった。

 

本当に絵を描いているのかさえ。

 

もう。

 

・・・。

 

・・・。

 

わからなくなった。

 

信じたいのに。

 

智のこと・・・信じたいのに。

 

信じられなくて。

 

疑いたくはないのに。

 

嫌な方向にばかり考えてしまう。

 

最近忙しいのは。

 

本当に・・・仕事?


あの日・・・帰りが遅かったのは。


本当に・・・松岡先生と話してたから?

 

昼間の・・・まいちゃんを思いだす。

 

「聡の嘘つき。」・・・って・・・そう言ってた。

 

嘘・・・つき。

 

・・・。

 

・・・。

 

僕達も。

 

別れちゃうのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思ったら。

 

急に・・・涙があふれて。

 

止まらなくなった。

 

最初は・・・それでも。

 

父さんにばれないように拭いていたんだけど・・・でも。

 

声が。

 

嗚咽が漏れちゃって。

 

どう・・・したらいいのかわからなくて。

 

ヤダ。

 

別れたくないって思って。

 

だって「愛してるよ和。」って。

 

さっき言われたもん。

 

信じてる。

 

智のこと・・・ちゃんと信じてるもん。

 

なのに。

 

でも。

 

・・・。

 

・・・。

 

涙が止まらない。

 

 

 

「ぅ・・・っ・・・。」

 

「和也。」

 

「・・・ひっく・・・ぅ・・・ぅ・・・っ・・・。」

 

「どうした。」

 

 

 

父さんがびっくりした声を出している。

 

でも。

 

どうにも・・・どうしようもない。

 

僕は立ち上がり。

 

そのまま部屋へと駆け込んだ。

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

つづく

 

 

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作者のナツコです。

 

読んでくださって、ありがとうございました。

 

お話はまだまだ続きます。

 

毎日0時8時16時に更新の予定でございます。

 

最後までお付き合いいただけたら嬉しいです♪