大宮さんのBLのお話「wanna be...」の続々編です。
苦手な方はご注意を///。
毎朝7時の数話更新です。
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得意先との宴席。
そこそこ名の知れた料亭の個室。
これだけの場所を用意した・・・という事にご満悦の取引相手。
ご機嫌で盃を傾けている。
でも。
ご機嫌なのは・・・そのせいだけじゃない。
「わぁ・・・豪快♪」
「そうか?」
「はい・・・飲みっぷりが男らしくてかっこいいです。」
「可愛いことを言うなぁ///。」
デレデレだった。
そう。
可愛いことを言ってるのは・・・和。
俺の隣で。
可愛い顔をして。
得意先の専務に・・・まあ・・・うん。
簡単に言えば・・・おべっかを使っていた。
大事な大事な大手の取引先。
同業他社とも手広く取引していて。
最初・・・うちの会社とは数%の契約しかなかったんだけど。
和が営業担当に代わってから。
どんどんと取引高が増え。
気付けば取引会社のシェア率2位まで上り詰めていた。
それのお礼も兼ねての宴席。
だから仕方ない。
この取引先の狸みたいな専務を。
とにかくご機嫌にさせておく必要があった。
俺の大事な恋人を。
まるで・・・生贄みたいに差し出していることに。
少しのいらだちを感じながら俺は。
和にもこの専務にもばれないように・・・と。
小さくため息を吐いた。
営業一課から・・・和のいる営業三課に異動してきてから。
もう半年が経った。
課の間での異動はまあまあある話だから。
初めは・・・その偶然・・・と言うかラッキーに驚いた俺だった。
でも・・・それが。
その異動が。
実は偶然ではなかったって事を後々知らされた。
「大野さんを営業三課に異動させてください。」
営業三課を仕切っている部長に和がそう言ってお願いして。
それで俺を異動させたんだ・・・と。
部長本人の口から直接聞いたんだ。
ちなみにその部長は・・・あの総務課長と和を取り合ってバトった部長だ。
和に甘いその部長におねだりのように言い。
聞き入れてもらった和。
それを知った俺は・・・これっていいのか?と。
プライベートを仕事に持ち込むことに若干の抵抗があった。
でも。
・・・。
・・・。
公私混同する和が。
かわいくて・・・たまらなくて。
さらには和が。
異動させてくれなくちゃもう部長と口きかないから・・・と言ったと知って。
そんな和が余計にかわいくてたまらなくなる俺。
もちろん和は・・・俺との仲をその部長にちゃんと報告していて。
それもまあ驚きだったんだけど。
あの日。
異動して・・・しばらくしてから部長とサシで飲んだ時に言われた言葉。
「二宮君を大事にしろ。」
「絶対に泣かせるな。」
さらには。
「二宮君が喜ぶから君を異動させたけど。」
「二宮君との仲を認めたわけではない。」
とまで言われた。
すべては。
和かわいさに和の言う事を聞いている部長。
俺にはキツイ物言いをするくせに。
和が・・・部長ありがと♪・・・なんてかわいく言うと。
いやいや///なんてデレデレになる部長。
俺への嫉妬と。
和への愛しさが混在しているのがわかった。
複雑な心境だけど・・・でも。
この人もまた。
和の事がかわいくてたまえらないんだろうな・・・と。
そんな事を・・・思った。
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つづく
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