大宮さんのBLのお話「wanna be...」の続編です。
苦手な方はご注意を///。
30分おきの更新です。
〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*
・・・今日は・・・ちょっと行きたいお店があるんだけど・・・
会社を出て。
いつものように駅に向かって二人歩いていると。
和が急に言い出した。
いつもなら・・・どこでもいい・・・と言う和が。
めずらしいな・・・と思い。
もちろん俺は賛成し。
まずは電車で移動して。
そして駅前の居酒屋に二人で入った。
目的のそのお店は。
バーだから。
食べ物がないの・・・と。
そういう和。
軽く腹ごしらえをして・・・そして。
目的のバーに向かった。
「久しぶりだね・・・和。」
「うん・・・僕いつものね。」
「・・・そちら様は?」
「あ・・・俺は・・・」
「僕と同じので。」
「・・・かしこまりました。」
ホテルの最上階。
高級感漂うバー。
窓が大きくて。
店内は暗くて。
大人の雰囲気のお店だった。
ほとんどの席が窓を向いて作られているけど。
和が指定したのは・・・バーテンダーのいる店の奥のカウンターだった。
和と親し気に話すこのバーテンダー。
かなりの男前だ。
眉が太くて。
目が大きい。
ホリの深い整った顔立ち。
モデルか俳優か・・・くらいのイケメン。
流れるような仕草で。
グラスにカクテルを作っていく。
「和。」
「・・・ん?」
「チョコは?」
「うん・・・食べる。」
「・・・ん。」
和の好みも知っているようだ。
その・・・甘ったるくない親し気な様子に。
少しドキドキする。
今まで感じた事のない雰囲気が。
和から感じ取れる。
この人潤君ね・・・と。
紹介された彼は。
松本と言います・・・と言い。
和の幼馴染で。
俺の読み通り・・・俳優をしている・・・と言う。
舞台俳優で。
昼間は稽古・・・夜はバーテンダーをしていて。
がんばってるんだよ・・・と。
俺にそう言った。
そして。
俺の事は。
会社の上司だ・・・と。
そう紹介しただけで。
その・・・まあ・・・。
詳しいことは言わなかった。
三人で話をする。
バーテンダーの松本君は。
話題が豊富だった。
特にエンタメの事はよく知っていて。
映画とか・・・よく見ているようで。
そんな話をする。
今公開されている映画。
何が面白いか・・・とか。
昔見た映画・・・何が面白かったか・・・とか。
三人で好き勝手に話す感じが楽しかった。
けっこう長い時間バーにいて。
そして・・・そこを出た俺達。
今日は。
送らなくていいから・・・と言われ。
駅で和と別れた。
別れ際に・・・和が俺に言う。
・・・今度の日曜に行ってみる?・・・映画・・・
さらっと。
誘われた。
そう言えば。
飲みに・・・はもう何度も行っているけど。
そういう・・・いわゆるデートみたいなのって。
今までなかった。
・・・。
・・・。
でも・・・まさか。
和の方からこんな誘いされるなんて。
・・・。
・・・。
これは。
うん。
嬉しい。
俺は・・・行こう・・・とそう返事して。
嬉しそうに笑う和を。
見送った。
少しずつ。
近づいていく感覚。
まだ・・・付き合っていないんだけど。
もう・・・こうなると。
何をもって「付き合う」というのかがわからなくなってきた。
もちろん前提には「好き」という思いがあるんだろうけど。
少なくとも・・・俺は。
和に好かれているとは思っている。
じゃなければ。
こうして一緒に飲みにとか。
ましてや休日に映画とか。
ないはずだから。
もしかしたら・・・和も。
俺を知りたい・・・の?
俺が和を知りたい・・・と思うのと同じように。
和も・・・俺の事。
・・・。
・・・。
そう考えると。
待つのもつらくない。
俺は・・・自分に都合のいいように考え。
そして。
日曜日を楽しみに待つことにした。
つづく
.