「春嵐」の続編です。
大宮さんの腐のお話です。
苦手な方は。
ご注意を///♪
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「お待たせいたしました。」
そう言いながら・・・俺と翔君の目の前にお代わりのグラスを置くバーテンダー。
低い声。
薄暗いバーには・・・とても似合う。
俺と翔君は・・・乾杯の代わりに二人で小さくグラスを目の前にかかげ。
新しいビールを口にした。
薄口のひんやりとしたグラスの口当たりと。
口内に広がる苦みを味わい。
ゴクン・・・と喉に流し込んだ。
俺の隣で・・・同じようにビールを飲み。
一輪挿しのバラに軽く手を触れている翔君。
ただそれを・・・じっと見つめている俺。
バーテンダーが・・・俺達の会話が途切れたと思ったのか。
翔君に話しかけた。
「赤いバラの花言葉は。」
「・・・ん?」
「『情熱』や『愛情』という言葉が有名ですが。」
「・・・。」
「そのバラは1本なので。」
「・・・うん。」
「『一目ぼれ』や『あなたしかいない』という花言葉があるそうです。」
「へぇ・・・物知りだね。」
「お花屋さんに・・・聞きました。」
「へぇーーー。」
と大きな声で言いながら。
俺を見る翔君。
その翔君の視線も気になるけど。
それより気になるのは。
お花屋さんに聞きました・・・と言いながら。
照れくさそうに微笑んだそのバーテンダーの表情に・・・だった。
誰を。
思い出してる?
って言うかどうしてそんなに照れるんだ?
お花屋さんっていうのは・・・いったい・・・。
「お花屋さんって?」
翔君が・・・カウンターに座り直しながら。
バーテンダーに聞いた。
「ここのホテルと契約している業者さんです。確か宴会でも・・・」
「ああ知ってる・・・ここにも来るの?」
「ええ。週に2、3度オープン前に来てくれています。」
「どんなお花屋さん?何人かいるでしょ?」
翔君が。
俺の聞きたいことを聞いてくれている。
ちょっと。
楽しんでいるように見えるのは。
俺の気のせいであって欲しい。
「小柄な男性で・・・とても・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・とても・・・?」
「男性に言うにはちょっと失礼な表現なんですが。」
「うんうん・・・いいよ言って。」
「かわいらしい方・・・です。」
「へぇーーー。」
だから。
なぜ照れる?
そして・・・翔君。
どうしてそう。
大きな声を出して俺を見る?
「あの子かなぁ・・・ちょっと色白の子でしょ?」
「あ・・・はい・・・そうです・・・瞳がキレイな茶色で・・・。」
「瞳の色まではわからないけど・・・よく見てるね。」
「ぁ・・・。」
「お気に入りなの?」
「いえ///そういう訳では・・・。」
照れるんじゃない。
あの子は。
俺のだ。
って言うか。
・・・。
・・・。
突然・・・気づく。
ライバル的な奴が。
いるかもしれないって事に。
俺が・・・あの子に一目ぼれしたように。
誰かが。
あの子に一目ぼれする可能性だって十分にあるんだって事。
そして・・・その誰か・・・が。
このバーテンダーかもしれないんだって事。
俺は・・・バーテンダーの胸元のバッジを見て。
そのアルファベットで書かれた名前を記憶に深く刻んだ。
つづく
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