こんばんは。
コラボに参加させていただきました。
よろしくお願いいたします♪
大宮さんのBLのお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「花言葉」
いつものように・・・地下の駐車場に車を停める。
紙に包まれたたくさんの花たちを。
大事に大事に・・・荷台からいくつも降ろし。
台車に乗せる。
窮屈だったよね・・・と。
キレイにしてあげるから・・・待っててね・・・と。
小さく・・・花たちに話しかけた。
花に話しかけるのは昔からの僕の癖で。
でも・・・なるべく声に出さないように気を付けている。
だって・・・これ。
ただの変な人だもんね。
女子ならまだいいけど。
もう成人をとっくに超えた男がすることじゃないしね。
ここは取引先の大きなホテル。
その裏口の駐車場。
今日は婚礼が多いから。
花も多い。
急がないと・・・と思いながら準備をしていると。
店の潤君から電話が入った。
「・・・どうしたの?」
『和ごめん・・・あのイタリアンのオープン記念の花って今日だっけ?』
「違うよ・・・最初は今日って言ってたけど・・・結局明日になったんでしょ?」
『やっぱ・・・そうだよな。』
「うん。」
電話を耳に挟み。
少しずつ・・・花を台車に積みながら答える。
変な格好で積んでいたからちょっとバランスを崩しちゃって。
一応制服として着ている白のシャツに。
花粉がついてしまった。
それを・・・ささっとタオルで払う。
『新井さんは今日取りに来るんだよな。』
「そう・・・あの人せっかちだから・・・10分前にはもう包んでおいた方がいいと思うよ。」
『わかった。』
じゃあね・・・と言って電話を切る。
本当は・・・こういう小さな花屋さんでは。
こんな大きなホテルとの取引なんて。
普通はないんだけど。
潤君のおじいさんの代から契約しているらしくて。
その・・・信頼みたいなのがあるから・・・だから。
やらせてもらってるって言ってた。
幼馴染の花屋さんの潤君。
その潤君よりも僕は花が好きで。
子供の頃から潤君の家に入り浸っていた。
そして学校を卒業後・・・そのまま・・・ここで当たり前のように仕事をし始めた。
もうずっと・・・俺より似合うよ・・・って潤君に言われてる。
時々花に話しかけているのを。
潤君は聞こえているみたいなんだけど。
聞こえないフリをしてくれている。
僕はずっと店頭で花を売っていたんだけど。
最近・・・潤君のお父さんの外回りの負担がちょと増えちゃったから。
思いきって担当を変えようって事になって。
それで。
半年くらい前から。
ここのホテルは僕の担当になった。
平日はほぼ1日おきくらいに来ていて。
土日とかの婚礼がある日は。
朝からこうして来ている。
花を積み終えて。
台車で警備室まで行く。
大きな警備室で・・・いつも数人の警備員さんがいるんだけど。
そこで。
サインして・・・入館証とか・・・そういうのを毎回来るたびにもらう。
でも・・・今はもう・・・ね。
僕は顔パスみたいになっていて。
おはようございま~すって言うだけで。
そこにいる警備員さんが入館証くれて。
台帳に・・・代筆までしてくれるんだ。
で・・・ね。
それだけじゃなくて。
この人。
大野さん。
ここの警備員の中では一番偉い・・・主任なんだけど。
この人が・・・ね。
いつも。
ほぼ・・・毎回。
僕が行くと。
必ずと言っていいほど警備室から出て来て。
僕の台車を代わりに押してくれる。
すごく助かるし。
これ・・・重いからありがたいんだけど。
でも・・・ね。
この人。
とんでもなく無口なんだよね。
チン・・・と音が鳴って。
エレベーターが来て・・・二人で乗り込む。
「今日は何階。」
「えと・・・B2です。」
「・・・。」
乗り込んだエレベーター。
二人きりで。
でも・・・世間話とかいつもしない。
前は頑張って話しかけてたんだけど。
話がね・・・全然広がらないんだよね///。
だから。
ただひたすらに階数表示板を二人で見上げている。
ちらっと。
横目で・・・大野さんを見る。
キレイな顔をしている。
目・・・かな。
キレイなのは。
あ・・・口元も。
うん・・・キレイだ。
ホント・・・いつもこの人だけが。
こうやって手伝ってくれる。
なのに。
無口。
愛想がいいようには見えなくて。
すごい親切って言う風にも見えないのに。
手伝ってくれるんだよね。
何かおしゃべりするって訳でもないのに。
一緒にいて楽しそうって訳でもないのに。
・・・。
・・・。
ちょっと・・・不思議な人だった。
つづく
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作者のナツコです。
読んでくださって、ありがとうございました。
お話はまだまだ続きます。
毎日0時8時16時に更新の予定でございます。
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです♪
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