半導体レーザーのベンチャー企業「QDレーザ」(本社・川崎市)は10日、レーザー光を利用したメガネ型の視覚支援機器を使って、視覚障害者の視 力を改善させる臨床試験(治験)を、独のエッセン大学病院で行うと発表した。視覚支援機器は、同社と東京大学の荒川泰彦教授らが共同開発したもので、小型 カメラで撮影した映像などをレーザー光で患者の網膜に直接投影する。網膜や角膜が傷ついた重い視覚障害者にも、鮮明な画像が提供できると期待されている。

 治験は来年、網膜の中央部が傷つき、視野がゆがんだり暗くなったりする加齢黄斑変性の患者約100人で、効果と安全性を検証。来年末までに、欧州の医療機器認証の取得を目指す。

  同大病院のある独ノルトライン・ヴェストファーレン州は、医療産業の育成に力を入れており、日本の技術も積極的に導入している。筑波大学の山海嘉之教授が 開発した医療用ロボット「HAL」の実用化を支援。HALは同州での治験などをもとに、2013年に欧州の医療機器認証を得て、脊髄損傷患者のリハビリ治 療に使われている。

 QDレーザは、国内向けには医療機器ではなく、福祉用として、同様の製品を来年3月に市販する計画。(読売新聞)