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おとうさんといっしょ関連

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NHK BS おとうさんといっしょ の「たいせいくん」こと木戸大聖君の出演している舞台公演「動物会議」を観てきましたので「ネタバレ」感想文を書いてみました。(無駄に長文です)

 

完全ネタバレですので公演内容を知りたくない方はお読みにならないでください。また観劇以外の事もかなり書いております事と、あいまいな記憶を頼りに書いている事から多少実際と違う可能性がある事はご承知おき下さい。

 

 

(1)初台へ
おとうさんといっしょ や おかあさんといっしょ のイベントや公演を小さい子供を伴わず出かける事は50代男性にはまず無理があるが、井上ひさしの戯曲なら全然問題ない。ローソンチケットで平日の昼間なら空きがあったので購入し、有給休暇を取って出かける事にした。家を出る時に「新国立劇場で井上ひさしの音楽劇を観てくる」(たいせいくん見に行くとは言ってない)と告げたところ、「意外。また電車かテレビのイベントかと思った」との事。私が井上ひさしを観ると「意外」になるらしい。私だって時には「文化的な趣味」をする。そんな事はどうでもよいが、まだあまり乗っていない「東武東上線直通東急東横線の特急」で出かける事にした。

 

横浜から「森林公園駅」行き Fライナーに乗車し、東京メトロ副都心線の新宿三丁目で都営新宿線に乗り換えて初台まで行く。東横線の副都心線乗り入れにより、ある程度便利にはなったが行き先の駅名がなじみのないものになってしまった。東京以南に住む者には「森林公園」や「和光市」といった駅が正確に何処にあるのかはっきりしない。今まで東横線といえば「渋谷行き」が当たり前で、渋谷は目的地でもあることが多いので何の違和感も無かった。これは東京以北の人も同様で、池袋に行きたいのに「元町・中華街」って何処?であろう。漠然と知らない所へ行く電車に毎日乗って通勤通学しているのである。東京はあまりにも物事の集中が強いので東京圏の人の目的地はほぼ東京にあり、知人の家に行く、特定の会社に出張する、遠方に旅行するなどを除けば東京を通過して移動するという事があまり無い。南北相互乗り入れ列車の有効性はどの程度あるのであろうか。

 

例によって窓から景色を眺めながら初台へ向かう。武蔵小杉は40階建て以上のタワーマンションがニョキニョキと建ち、昔とはだいぶ違った街になりつつあるようだ。電車は代官山あたりから地下に入る。地下鉄は当然「外が見えない」事から電車に乗る楽しみが当社比で70%減少してしまう。どの駅の構造も壁と柱しかなく、全く変化に乏しい。地下鉄は退屈だ。新宿三丁目駅での乗り換えは、かなり上下や左右に移動しながら歩く。最近の東京の駅の乗り換えはどこも複雑で迷路のようだ。初台駅は中央改札口が新国立劇場へ直結だ。

 

(2)新国立劇場
開演まで少し時間があったので周囲を歩く。東京オペラシティは新国立劇場と高層ビル東京オペラシティビルで構成されている。54階建ての東京オペラシティビルは、かつてアップルジャパン本社も入居していたが現在は六本木ヒルズへ移転している。このビルの屋上で 1996年に Every Little Thing(エヴリ・リトル・シング)の「Future World」という曲のミュージックビデオが撮影されている。かなりカッコイイ曲とビデオで「Time goes by」と共に大変好きな曲だ。(DVDも買った)あの当時の持田香織さんは特に素晴らしい。(今も良いですけれどね)。新国立劇場はオペラ劇場、中劇場、小劇場で構成され、「動物会議」が上演されるのは小劇場だ。小劇場は舞台、客席が移動式で舞台を観客席が囲む形にも出来るが今回は通常の舞台と観客席が向き合う形だった。ただ花道というか出演者達が前方の客席間を通る通路が設けられていた。

 

(3)開場
劇場エントランスには人が集まり始め、入口横には出演者への花が置かれていた。たいせいくんへの花はインスタにあった NHKスタッフからの花と、「ファンより」と書かれた花があった。受付が始まり、チケットのモギリが行われる。その際、演劇関係のパンフレットをどっさり渡される。数々の本格演劇のグッと渋いパンフレットに混ざり、おとうさんといっしょレオてつコンサート板橋公演のパンフレットが入っている。ゆめちゃん、シュッシュ、ポッポ、そして たいせいくんが並んだポップなパンフレットはおとうさんといっしょを知らない人は不思議に思うに違いない。

物販で原作絵本などが売られている。動物会議のプログラムも売られているので購入する。カラー印刷 B4サイズ8ページ(したがって紙2枚だ)で500円。割高だと思ってはいけない。これは劇団への寄付行為なのだ。お布施だと思って購入する。出演者紹介と挿入歌歌詞などが掲載されている。たいせいくんは、いつものあの写真と作品に対する思い「大切なものは何なのか伝えたい(抜粋)」と書かれている。出演者一覧の写真中ひときわ若い(童顔だし)一番歳の近い栗原さんは大人顔だし。

席に向かう。ほぼ満席。平日昼間という事もあって未就学児が数人、10台と思われる男女はゼロ、20代と思われる女性が1割ほど、20代と思われる男性は少数、30代40代と思われる男女が2割ほど、50代と思われる女性が2割ほど、50代と思われる男性は私を除いてほぼゼロ、そして多数の60代以上と思われるシニア層の男女。シニア男性もかなりいる。杖をついたかなり高齢の男性。車椅子の高齢の女性。やはり井上ひさし作品という事もあってシニア層が多い。各出演者さんの固定ファンの方と井上作品のファンの方が大半であろう。休日ならもっとファミリー層が多くなると思われる。たいせいくんにとっては、おとうさんといっしょなどのテレビ出演や若手俳優が多く出る若者向けの舞台公演などでは向き合う事のない観客層だと思う。少しでも顔と名前を知ってもらえたら幸運だ。

 

(4)開演
舞台幕が降りている状態で、いきなり観客席後方通路から、たいせいくんがあの衣装で現れる。そして各出演者達が舞台上に集まって行き、話始める。彼らは近くサーカスの動物でこの新国立劇場にあなたたちを閉じ込めたとの事。そして何かを協力してほしいと言う。話は1か月前に戻る事になり幕が開く。

 

*日本のサーカスの場面
夏の暑さでグダグダしている動物たち。そこへサーカスの団長がきて「芸の練習をしろ」と脅す。動物たちは歌を歌ったり色々な事をし始める。音楽は演奏者が出てきての生演奏だ。出演者のみなさんが大きな声で歌う。たいせいくんも頑張って歌っている。かなり高い台からピョンと飛び降りたり、四つん這いに近い低い姿勢をとる事が多く、あの衣装だし長い尻尾も付いている状態のまま色々なポーズをとるのはかなり大変だ。

 

そうしているうちにライオンが日本の子供達がかわいそうだと言い出す。公害で遊び場もないから。動物会議の初演は1971年。確かに当時は酷い環境だった。河川はドブ川となり悪臭がした。道路は排気ガスとばい煙がひどかった。当時の子供だった私もひどい環境だと思った。動物たちがそう話しているうちに猫が現れメッセージ運び屋だという。猫は元泥棒猫でサーカス団長からも色々なものをかっぱらってきたという。猫(池谷のぶえさん)の歌は物凄い響きのある大きな歌声で聴きごたえがある。

 

メッセージ屋が現れたのでライオンがアフリカのライオン兄へ日本の子供の窮状を訴える手紙を書くという。ライオン兄はアフリカで動物協会(組合?)の偉い役員をやっているらしい。ライオンは文字が書けるらしい。そしてハトに託してメッセージをアフリカに送る。

 

*アフリカの場面
ライオン兄の元には世界各地の動物からメッセージが送られてきていて、環境汚染や戦争の被害を訴えている。ライオン兄役の大空ゆうひさんは身のふるまいが宝塚っぽいなと思っていたら、本当に宝塚宙組の男役トップスターだった。やはり宝塚の人は雰囲気が違う。華があるというか独特である。鼻をマジックハンド代わりに使う象の衣装も面白い。ライオン兄はアフリカで世界各地の動物たちを集めて対策を話し合う動物会議を開くと言う。

 

*日本のサーカスの場面
サーカス団長、学者、将軍、会長など人間の大人の偉い人がサーカスに来て動物たちの不審な動きがないか見に来る。動物の分際で人間様の言う事をきけと脅しまくる。
アフリカからライオン兄からの動物会議開催の知らせと招待が届く。招待を受けた動物たちがアフリカへ行こうとするが行けるのは一人(1匹)のみ。(航空運賃おやつ代こみ)誰が行くか決めることになり、じゃんけんなどをするがなかなか決まらない。結局、猿が行くことになり飼育員を兼ねるピエロのおじさんが逃がしてやり、アフリカへ行く。果たして猿にパスポートが発給されるのか?飛行機に搭乗できるのか?荷物扱いになるのか?全てが不明のままとにかく猿はアフリカに到着する。

 

*アフリカ動物会議の場面
集まった動物たちは人間たちに環境破壊と戦争をやめさせる手段を話あう。ハチに軍隊を襲わせる。イナゴに工場を襲撃させる。猫に車を追わせる。などを試みるがことごとく失敗。無力を思い知る事になる。最後の切り札として、人間の子供たちを誘拐して人質にとり、交渉を有利に進めようとすることになる。誘拐の形を取るが子供たちを説得し、アフリカへ連れてゆきアフリカの自然で遊ばせるという事らしい。

 

*日本のサーカスの場面
誘拐の依頼を受けた動物たちは子供たちを新国立劇場に閉じ込め、アフリカへ行く事を説得する。ここが劇の冒頭の部分となる。子供たちはクジラの背中などに乗りアフリカへ向かう。
子供たちを誘拐された人間の大人たちもアフリカへ向かう。ピエロのおじさんが会議の場で人間の大人との交渉の際、不利になったらみんなで歌を歌って応援して欲しいという。ここで歌のレクチャーが始まる。動物憲章の歌詞が書かれた大きな幕が出てきて観客みんなと歌う。「ここは十拍伸ばして」「ここは低く」とか妙に具体的な指導が入る。観客は結構みんな歌っている。

 

*アフリカ動物会議人間との交渉場面
将軍たちが子供を返せとせまる。動物たちが戦争をやめて環境を破壊しないでと言うと、人間側はそんな事をしたら軍人が失業してしまう。工場をとめたらそこで働く人の仕事がなくなる。と受け入れない。武器もあるし力ずくでという時、みんなの歌が始まり、将軍や会長たちはあっさり和解のサインをして劇は終了。

 

出演者一同が舞台上に並びお辞儀をして幕が降りる。たいせいくん斜めになった台の上に立ってお辞儀をして危なくない?

 

(5)感想
以下はあくまで私個人の感じた感想になります。人それぞれ受け取り方は違うと思いますので別の感じ方があっても、それは当然ですし、どれが正しいという事はありません。

 

観た感じ、やはり「井上ひさし」、やはり「こまつ座」だなという事。こまつ座は井上作品を演じる事を目的として設立された劇団で劇団員は少なく、専属俳優はひとり位しかいないはず。公演のたびに演出家や俳優を招き上演している。企画プロモーションなどを行う芸能事務所に近い。今回の動物会議も演出家や俳優が広く集められて行われている。木戸大聖君もその中に入った訳だが、所属事務所が何かの思惑をもって出演を決めたか、たまたまのご縁で出演が決まったかは分からない。しかし若手俳優として多くのベテラン俳優たちとの共演はきっと得るものが大きかったと思える。

 

井上作品の多くは「むずかしいものをやさしく」「笑いのオブラートにくるんで」というコンセプトがある。今回の動物会議は環境破壊と戦争の防止を話し合う事で考えてみよう、だと思っているが、高い理想を掲げて語り合うだけでは現実は何も変わらない事は事実である。動物会議の場で決められた手段がことごとく無力で、なにも変える事ができないという事を暗に示したのは、現実社会を見た上で井上もわかっている事の現れだ。何か大切なもの(劇中では「子供たち」で表現されるが実際の子供とは限らない)を手にいて交渉を進める手段は無いかという事だと思う。大切なものとは「もの」ではなく、広く多くの人たちが、自分で考え意識する行為であり、考える事をやめてはいけないと井上は訴えているようだ。多くの人が同じ考えと意識を持てば社会を変えて行く事は可能だと示している。ただ、それもかなり難しい事だ。人は時として利己的で、将来の不確実な利益より、自己の目前の利益を優先しがちだからである。しかし、現実に1971年当時より確実に環境は改善されてきている事は人々の環境への意識が変わり始めた表れだ。最近は残念ながらアメリカでは国際協調や協議の場を去ろうとする動きがある。扇動主義に惑わされないためにも、各個人が考える事をやめてはいけないのではないか。

 

戦争については、21世紀の今は国家間の本気の戦争は非常に起きにくくなった。経済の相互依存が高まり、一国では経済自体が成り立たない。変わりに出現したのは貿易や資本や資源、情報や知的財産をめぐる経済戦争である。アメリカと中国に代表される対立は深刻で根深い。話し合いは重要であるが、どちらの国の指導者も話し合いを好むタイプではない。当分、日本も翻弄されて行くだろう。

 

今では若干古さも感じられる井上作品も「むずかしいものをやさしく」考えるために、今後も演じられ続けられて行くだろう。身体を張って演じてくれた大聖君たち出演者の皆様お疲れ様でした。

 

        -おわり-