これは2020年3月末に、常磐線の放射能汚染を警告したものだが、おそらく今も危険性は変はらない。だが、当時も現在もマスコミは一切報じる様子はない。特に危険なのは、福島県を走り抜けてくる特急車両だ。先日ワシは日立市に墓参りに参ったのだが、普通列車でえらく時間をかけて行ってきた。ま、貧乏だからなんだが…
第104号
第94号でもお伝えした通り、そもそもマスクはウイルスに対してはほとんど全く無力。ウイルスの大きさは外科医が手術に使ふマスクの網目の250分の1〜50分の1。トンネルとネズミか、せいぜいイヌぐらいのものだ。一体どれだけ防げるといふのか。
さて、新コロ騒ぎで消ゑてしまひさうな重大ニュースを一つお届けしやう。IWJ用にかいたものだが、現在の状況では採用されさうにない。では、どうぞ!
放射能の中を走り抜ける常磐線
目次
■「アンダーコントロール」を象徴する常磐線全線再開通
■駅周辺だけの避難解除
■被爆する車両整備員
■放射能汚染地域と首都圏を結んで走る車両
■元町長や専門家も憤るデタラメ政策
■「アンダーコントロール」を象徴する常磐線全線再開通
「緊急事態宣言」を盛り込んだ特措法が国会で成立した翌日、2020年3月14日、北関東の太平洋沿いを南北に延びるJR常磐線が9年ぶりに全線復旧した。不通だった区間は、富岡(福島県富岡町)~浪江(浪江町)の約20・8キロ。東京電力福島第1原発事故の正に現地である双葉町・大熊町・富岡町を貫いている。
国は3月4~10日に当地の3駅周辺の避難指示を順次解除して、駅周辺の通行を可能にし、同線を開通させた。首都圏から仙台市まで特急「ひたち」が毎日三往復し、当地の双葉駅・大野駅にも停車し、原発事故被災地復興のシンボルになる。安倍総理の迷言「アンダーコントロール」は、ここに実現されたというわけである。
JR常磐線、全線運行再開 原発被災地、復興に期待
(東京新聞、2020年3月14日)
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020031401001090.html
<東日本大震災9年>常磐線9年ぶり全線復旧 大震災の不通、全て解消
(東京新聞、2020年3月14日)
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020031490135022.html
■駅周辺だけの避難指示解除
双葉駅(双葉町)・夜ノ森駅(富岡町)・大野駅(大熊町)の周辺では避難指示が解除された。双葉町では、町の面積の5%が解除になっているが、そもそも双葉町には現在、住民はいない。富岡町・大熊町に住むのは2千人弱である。
乗客はこの三つの駅の周りを歩くことができるが、住宅地などは避難指示解除の対象とはなっていないので、帰還する住民もいない。また、地元住民たちの移動手段は自動車になっているので、新たに開通した区間で乗車するのは東電と除染の関係者だけになりかねない。
福島県全体としても、事態はとても収束したと言える状況にはない。「除染」で発生したフレコンバッグの黒い山々、海洋放出がささやかれるトリチウム水。そして何よりも、甲状腺ガンの子供たちの数が200人に迫ろうとしているのだ。
原発避難解除、大熊町一部で 常磐線再開合わせ駅周辺
(東京新聞、2020年3月5日)
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020030501000822.html
<東日本大震災9年>双葉町、一部業務を再開 駅前に連絡所 町長「万感」
(東京新聞、2020年3月4日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/CK2020030402000298.html
福島・双葉、地元で一部業務再開 避難解除で駅前に連絡所開設
(東京新聞、2020年3月4日)
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020030401001245.html
■被爆する車両整備員
最大の問題は、放射線被爆だ。
JRは、1月18~22日の5日間、当該地を試運転させた。動労水戸の組合員が、モーターなどの空冷装置に取り付けられたフィルターのちりを、JR東日本勝田車両センター(ひたちなか市)で採取し、「つくば市民放射能測定所」(つくば市妻木)で濃度を測定した。
すると、セシウム137が1キロ当たり2350ベクレル検出された。当該地以外を通常運行していた車両のフィルターのちりから検出されたセシウム137は101ベクレルであるから、およそ23倍も被爆していることになる。フィルターの洗浄作業では、マスクを着けていても鼻の中まで真っ黒に汚れるというから、整備員が被爆する危険性は高い。
動労水戸はJR東日本に対し、帰還困難区域内を運行する全車両の線量測定や、整備員の被ばく防止教育や防護用具の配備などを要求してきたが、会社側は拒否した。
JR東日本水戸支社の雨宮慎吾支社長は、車両への放射性物質の付着について「(当該地の空間線量が)毎時二マイクロシーベルトだということから考えて問題ないと思う」と述べた。
動労千葉も常磐線開通反対闘争を行っている。
常磐線試運転 車両付着ちり 放射能濃度23倍に 動労水戸調査
(東京新聞、2020年2月29日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/202002/CK2020022902000138.html
9・22水戸 乗務員も乗客も被曝させるな 常磐線全線開通阻止へ620人
(前進、2019年9月30日)
http://www.zenshin.org/zh/f-kiji/2019/09/f30720101.html
*乗務員・乗客を被爆させるな 常磐線開通反対!
*鉄道使って帰還強制するな! 常磐線全面開通絶対反対! 7.12 動労水戸ストライキ!
https://blog.goo.ne.jp/chiba20110507/e/7121e410ed5ccbaaa7dc3feef4000b7b
■放射能汚染地域と首都圏を結んで走る車両
沿線住民の反対運動も持ち上がっている。
2019年9月22日には、水戸市で「高線量地帯に向かって列車を走らせるな!―常磐線の全線開通は安全か?―9・22水戸集会」が開催され、600人以上が集まった。
集会冒頭では、2019年の7月・9月に福島の帰還困難区域で線量を測った動画が上映された。線路を入れ替えたところでは、線量計に毎時0・15マイクロシーベルトだが、線路の脇では0・74㍃シーベルトになり、危険を知らせる警告音が鳴り続け、線量計が表示できる数値の上限(9・99)を超えた場所もあった。
集会後には参加者が水戸市内をデモ行進した
ツイッター上でも開通に反対の声が広がっている。
ちなみに、常磐線に並走する常磐自動車道(2015年、全線開通)で2019年5月4日に発生した衝突事故では、「駐停車禁止、開窓禁止」の高線量地帯でであったため対処が遅れ、重体だった小学一年生の少女は70キロも離れた福島市の病院に移送された挙句、命を落とした。軽傷だった乗客も、毎時1.9マイクロシーベルトの路肩で2時間も待たされたという。
常磐線・常磐自動車道とも並走する国道6号線の福島県双葉郡内では、車内で線量計のアラームが鳴りっぱなしだという報告もある。
*常磐線全線開通と東海第二原発再稼働に反対
https://twitter.com/jyobansen_2020
*もう黙ってられない! 原発なくせ! ちばアクション
https://blog.goo.ne.jp/chiba20110507/e/7121e410ed5ccbaaa7dc3feef4000b7b
*東京新聞・佐藤圭記者「常磐線全線開通でも、上から乗れって言われ関係者が乗るだけ」「マスコミは礼賛記事を垂れ流すだろうが、お寒い状況」
https://togetter.com/li/1456966
■元町長や専門家も憤るデタラメ政策
事故当時の福島県双葉町長、井戸川克隆さんは「原発事故の悪いイメージを早く払拭し、東京五輪という大行事に国民を熱くさせるためだ」「放射能汚染を示す数字はごまかせても、重要な交通インフラの鉄道が開通していない物理的実態は隠蔽できないので、無理な開通をさせた」と指摘している。
一般人の被爆許容用量は、もともと年間1ミリシーベルトだったが、福島第一原発事故後に年間20ミリシーベルトに緩和された。三駅(双葉・大野・夜ノ森)とその周辺の避難指示が解除された根拠は、この基準にある。
原発の危険性を長年訴え続けてきた元京都大原子炉実験所助教の小出裕章さんは「20ミリシーベルトというのは、かつての私のような放射線業務従事者が、給料をもらう引き換えにようやく受け入れさせられる線量。それを子どもも含めて適用するなんて論外だ」「本来なら放射線管理区域に指定しなければならない場所。公共の交通手段が乗り入れるなんてあり得ない」と憤っている。
*常磐線、きょう全線開通 被ばくの懸念 根強い声
https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/202003/CK2020031402000170.html
(第104号 終り)