第148号 無知は未来への罪 衆院選・最高裁国民審査の後に思う | 燃え上がれ!NATTO-TIMES 21st century

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 「最近NATTO TIMESの更新が遅いなぁ」と思っている方々、誠に済みません。

パソコンが壊れてしまって、スマホで原稿を書いているのだが、書きにくくてペースが上がらないのだ。

 

 中3でロボコン世界大会に出場した次男が高校に進学した10年前、再び世界大会を目指すために買ったもので、卒業後、ワシに「お下がり」となって、NATTO TIMESを支えてきたのだが、そろそろ御臨終らしい。起動して10分も持たずにダウンしてしまう。

 

 新しいパソコンを買いたいが、給料が大卒初任給を下回るような状況では、家族の生活さえままならず、飲食以外にカネを遣えるワケもない。まったくトホホな人生である。

 

さて本題に入ろう。

 

まずは最高裁国民審査だが、ワシが✖️を付けた深山卓也、岡村和美、長峯安正、三浦守、林道晴、岡正晶の罷免率はほぼそろって7%前後。✖️を付けなかった宇賀克也、草野耕一、境徹、渡辺恵理子、安浪亮介の罷免率も6〜7%。ほとんど変わらない。

 

つまり、90%以上の人は何も考えておらず、✖️を付けた人も、ほとんどは余り深い考えもなく11人全員に✖️を付けたということだろう。全く役に立たん制度である。これも大いに議論されるべきだ。

 

お次は衆議院選挙の結果だが、トンデモナイ結果になってしまった。政権交代どころではなく、改憲の危機迫るという恐るべき局面を迎えてしまった。

 

日本国憲法の改正は、衆議院・参議院で各議員数の3分の2で発議され、国民投票で過半数が賛成すれば成立する。

 

現在、衆議院の定数は465なので、3分の2は310である。今回の選挙で自民党の衆議院議員は262。これに改憲勢力である維新41、国民民主11を足すと313となって改憲ラインを超えてしまうのだ。これにもしも公明32までもが加わるような事態になれば、どうあがいても発議は止められない。

 

参議院の定数は242で、改憲ラインは162だ。現在、自民111、維新15、国民民主15で、合わせて141。まだ余裕があるように見えるが、公明28が賛成にまわれば169で発議は成立する。しかも来年7月に半数120を改選する参院選が待っている。ここで今回のように立民・共産が議席数を減らして維新が倍増などということになれば、

改憲の可能性がますます高くなる。

 

 改憲がどれだけ危険なものであるかは、ほとんど語られていないので、ここでカンタンに説明して強調しておきたい。

 

憲法とは、権力者が民衆の生活を踏みにじらないようにするための縛りである。政府・国会・裁判所に勝手なことをさせないための決まりだ。ところが自民党の憲法改正案を読めば、彼等が憲法の存在意義を全く理解していないことがわかる。

 

自民党改憲案は「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、…」と、国のかたちを説教することから始めているのだ。全くもって憲法の名に値しない。

 

次に「国民」という表現が出てくる部分は、「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って守り、…」国民には国家を守る義務があると言っている。国家は国民を守るためにあるのではない、ということだ

 

中略、さらに「和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」困ったときには自分たちで何とかしなさい。国は国民のためには何もしないからね、ということだ。

 

続いて「我々は、… 教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる」驚くべきことに、国を成長させるのは「我々」すなわち国民の義務だというのだ。しかも成長するのは経済ではなく「国」である。「国家」でさえないところが不気味だ。

 

前文の締めくくりは、この改憲案の本性をハッキリと宣言している。「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」天皇の国家をずぅーっと続けるために改憲するのである。国民のためなんかでは、決してない。

 

この改憲案の最も危険なところは、98・99条「緊急事態」である。

 

内閣が閣議で「緊急事態」を「宣言」すれば何でも出来て、いつまでも続くのである。ウソだと思ったら、ネットで検索して自分の目で確かめるといい。しかし、一番最後の部分にそぅーっと入れて、しかもわかりにくーく書いてあるから、理解できないかもしれない。

 

「緊急事態って、この間のやつ? あれもう終わったんでしょ」とおっしゃるアナタ、マンマと騙されてますよ。そう思わせて、いざというときの地ならしをするのが安倍晋三の狙いだったんです!

 

改憲案にはこう書かれている。「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、…国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」

 

例えば、「戦争を始めるから、兵隊になって死んでこい!」「国家財政が危ないから、有り金を全て差し出せ!」と言われても拒否できないということなのだ。

 

しかも、衆議院は解散されず、参議院とともに選挙も無くなるから、野党は無力で、反対する者はゼロ。その状態がいつまでも続く。ヒットラーのナチス体制よりも強力な独裁国家誕生だ。

 

これは最悪のシナリオで、来年の参院選次第で止められるが、今回の選挙で既に決まってしまったことが、いくつもある。

 

「モリ・カケ・サクラ」問題の追及は封じられる。コロナ第6波で見殺し死亡が第5派の数倍に及ぶ。原発再稼働で、次の大地震での事故の可能性が高まる。生活必需品が値上がりし、困窮者が急増する。防衛費がGDP1%から2%になり、福祉・教育の予算が削減される。

 

そして、恐ろしいのはハイパーインフレだ。近い将来、物価がどんどん上がって、おカネでモノが買えなくなるかもしれない。ラーメン一杯五千円〜一万円なんて日が来るかもしれないのだ。

 

国の借金が1200兆円にもなっているのに、相変わらlず与党も野党もバラマキ政策を叫んでいる。国内だけで借金するなら大丈夫だとか言ってるMMT理論なんて信じてはいけない。借金を放っておけば、それを帳消しにするハイパーインフレが起こるのは、歴史を見れば明らかだ。

 

だからワシは税制改革をして、高額所得者と大企業からカネを取り立てろと主張してきた。オリンピックは止めろと言ってきた。ミサイルや戦闘機を買うな、基地建設は止めろと言ってきた。政権交代を願ってきたのだ。

 

今回の選挙で、自民・維新・国民民主に投票した人たちの頭の中はどうなっているのだろう。この国の現状と未来をどう考えているのか。

 

ワシは提案する。明治の自由民権運動から始まって、戦後のGHQによる改革で、1947年にやっと得た男女普通選挙制を、敢えてこの際、捨て去ろう。投票所の入り口でカンタンなテストをして、合格した人だけに投票させるのだ。

 

例えば、「次の空所を埋めよ」

 

「 日本国民は、正当に______された______における代表者を通じて行動し、われらとわれらの______のために、諸国民との______による成果と、わが国全土にわたつて______のもたらす恵沢を確保し、______の行為によつて再び_____の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに______が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な_____によるものであつて、その_____は_____に由来し、その_____は国民の代表者がこれを行使し、その______は国民がこれを享受する。これは_____普遍の_____であり、この憲法は、かかる______に基くものである。われらは、これに_____する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 

…………………………………………………………………………………………………」

 

アナタは合格できますか。日本国憲法の前文です。

 

アメリカの押し付け憲法だから、日本人の手で改正しなきゃならんのだ、などと言う輩がいるが、まずはよく読んでから言ってもらいたい。「戦争はもう二度とやりたくない、世界のみんな、仲良くしようよ」という時代の雰囲気が、見事に表現されているではないか。

 

当時、民主主義の未来を信じた若いアメリカ人たちが、理想に燃えて、日本の軍国主義者たちの首根っこを押さえつけて、高らかに宣言した名文なのだ。これを我が師、ダグラス・ラミスは、「民衆の心が政府に押し付けた」と表現した。誰が作ろうが、いいものはいいのだ。

 

「日本国憲法前文

 

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

 

何人も、憲法とも呼べないシロモノを国民に押し付ける権利などない。

ひたすら学ぼう!

無知は未来への罪だ。

 

*今回から、小学生のために現代仮名遣いに変えました。

(2021年11月09日 第148号 お終い)