夏になると掲載している怪談話の複製記事です。

 

初出は5年前で何回かに分割してお届けした「倉庫の怪談」シリーズ。今回はそんなお話をまとめてみました。これはフィクションではなく実際の体験談です。

 

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物流倉庫というものには、怪談話はつきもので、どこの倉庫にもいわくつきの話などあるものなんです。

そうですねぇ、もう20年近く前の体験でしょうか。
あのころは、とある物流センターのセンター長業務に従事していました。
当然、残業続きで仕事は深夜に及ぶことは当たり前。
その日も23時は回っていました。

 



事務所にはわたしともうひとりの事務担当社員がいました。
わたしはパソコンに向かって資料作成中。
そのときに聞いたのです。
「〇〇さ~~ん」という声を。声の雰囲気は女性です。

誰かが事務所外の通路のあたりから、わたしの名前を読んだのです。
「え?誰?」と思いましたが、もう現場には誰も残っていない時間帯でした。
事務所はガラス張りだったのですが、通路は真っ暗。人影も見えませんでした。
「今、誰か俺の名前読んだよね?聞こえた?」と、もうひとりの社員に聞きましたが、「え?そうですか?何も聞こえませんでしたよ」とのこと。

でも、わたしにははっきりと聞こえていました。
「〇〇さ~~ん」という声が。

疲れて居眠りしていたわけではありませんよ、決して(笑)
「おいおい、またかよ」と思いながら、再び仕事に向かったわたしでした。
というのも、その倉庫では、そんな奇妙な話がほかにもあったからです。

 

…そりゃ、お前のかつての女の怨霊だろうとか生霊だとかという噂もありますが、確認はされていません(笑)!

 

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わたしが管理職として勤務していた医薬品倉庫では、ほかにもこんな話を聞いたことがありました。わたし自身の経験ではありませんが、リアリティはかなりのレベルでした。深夜、倉庫棟とは別に建っている事務棟の2階で仕事をしていた同僚の話です。

やはり深夜12時近くの出来事。
彼は事務棟で一人で仕事をしていたので、安全のために玄関のカギは閉めていたそうです。しかし、なぜか彼は、ありえない音を聴いてしまったのです。
それは、トントントンと次第に大きくなってくる音。
その音は、1階から2階につながる階段から。
そうです、誰かが2階に上がってくる足音そのもの。
誰もいるはずがない階段なのに。

 



やがて、その足音は事務所入り口のあたりで消えました。
「おいおい、またこんな怪談話かよ、いい加減にしてくれよ」と彼。
早く仕事を終わらせて帰りたかった彼には、鬱陶しい出来事以外の何物でもありません。そんな現象は無視して、再びパソコンに向かった彼でした。

しかし、次の瞬間、彼は驚愕と恐怖に襲われてしまいました。

ドンドンドンドンDonドンDonドン!!

事務所の壁をとんでもない力で叩きつける音が事務所内に響き渡ったのです。
もちろん、彼は仕事を放りだして、速攻で帰宅したのは、言うまでもありません。

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かつてわたしが勤務していた倉庫は、新しい会社が入っても3年もたずに出て行ってしまうという現実がありました。
会社組織となれば、それなりの事情があって移転するのでしょうが、もしかして心霊現象も関係しているのでは?という話題が出たこともありました。さて、わたし自身が経験した怪談話ではありませんが、仲間から聞いた話にこんな話があります。 

月末に経費の締めで深夜残業を余儀なくされた女性事務員から聞いた話です。
倉庫棟の事務所で仕事をしていた彼女は、事務所外の通路で足音がしたので、パソコンから目を離し、通路の方向を振り向きました。
事務所の通路側は腰から上あたりの部分がガラス張りなので、通路に誰か通れば見えるはずですが、誰も見えませんでした。

 



事務所外の通路は、倉庫棟とつながっていて、すでに電気はすべて消えていて真っ暗。誰の姿も見えませんでしたが、「あれ?まだ現場に誰かいたっけ?」と思ったそうです。すると足音は、事務所の入り口の扉あたりで止まりました。

 

事務所の扉は、ドアの中心あたりに上から下まで縦にガラスが入った作りになっていて、外の様子がわかるようになっています。

彼女はその扉を見たときに凍りつきます。
「なんで、足だけ?」と。

事務所の扉のガラス越しに見えたのは、腰から下の足だけの女性らしきパンツスタイル。上半身は何も見えず、あるのは暗闇だけ。

ギャぁぁ~~~!

自分が今見ている映像を心の中で確認したとき、彼女は、そう叫ぶしかありませんでした。足だけの幽霊は、その瞬間消えてしまったそうです。

 

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残業をしていた3人の男性社員の話です。

「今夜も12時回りそうだから、ちょっと休憩しようよ」と、その男性社員は、同僚のふたりを連れて倉庫外にある喫煙所に向かいました。
タバコをすいながら、のんびり3人で雑談をしていると女性らしき話し声が聞こえました。女性の声は、自動販売機のあたりから聞こえたそうです。
話の内容まではわからず、とにかく女性の声が聞こえたという程度。

自動販売機が2台並んだ後ろ側に喫煙所はありました。
「あれ?まだ誰かいたっけ?まさか、もういないよな」と、一人の社員が自動販売機の正面に行って確かめましたが、誰もいません。
「おい、誰もいないよ、今、ほんとに声したよな、聞こえたよな?」と、同僚に話しかけたそのときです。

 

ゴトン!と、自動販売機の取り出し口に缶コーラが1本落ちてきたのです。

誰もお金を入れていないというのに。

「え、まさか、誰よ、これ買ったの!!」
「うそだろ、気味わりぃ~な、誰もいなかったよな、またかよ」 

 

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不気味な出来事は日常的だった倉庫なので、またかよ、で済まされる話でしたが、ほかにも社員が1か月のうちに次々に何人も入院するということもありました。 

現場社員は、胃潰瘍で血を吐いて入院。事務社員は、なぜか髄膜炎になり入院。
しかし、あの当時はわたしも残業時間が1か月160時間超えという、今では問題になりかねないブラック状態だったので、逆にわたしが、なんともなかったというほうが不思議だったかも(笑)

 

そのうち、今度は現場でフォークリフト事故も起こりました。
深夜一人で残業していた社員が、立って乗るタイプのフォークリフト(リーチフォークリフト)操作中に右足をフォークリフトの外に出したまま運転していて、バックしたときにコンクリートの柱に激突。右足の甲を粉砕骨折。 

本人が携帯で救急車をすぐに呼べたのは良かったのですが、足の甲から白い骨が飛び出しているのが見えたそうです。現場は血の海です。
それ以降は、深夜の一人残業は禁止となりました。

彼はその後、手術治療を受けましたが、足の甲の骨折にとどまらず、細菌感染が進み、最終的には足の付け根から切断という事態になり、会社を去って行きました。
さすがに、そんな事故が起きたあとは、「お祓いでもしたほうがいいんじゃないの?」という話も出ましたが、それはありませんでしたが…

 

「フォークリフト操作中に右足をフォークリフトの外に出したまま運転」という表現だけではわかりにくいと思いますので、この写真の黄色矢印の部分で右足をうしろにぶらんと出したままバックして大きなコンクリート柱に激突してしまったようです。

 

かつて30年近くわたしも乗ったリーチフォークリフトなので、なつかしい~~

あのころは、がむしゃらに働いていましたっけ……

 

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