4年半前に書いたSF小説の複製です。この続きを書きたいと思いながら、まったく書けていないという…でも、これを機会にまた書いてみようかなぁ……ムリかなぁ……
**********************************(2019年11月初出)
(この橋は埼玉県川口市に実在する‟ふれあい橋”です)
30代の主婦、冴子はいつものように愛犬の夕方の散歩の支度をしていた。
冴子が散歩用の綱を持っただけで、柴犬の愛犬ポコは、散歩に連れて行ってくれることを察知して、飛び跳ねて喜んでくれる。
「袋は持ったし、ペットボトルの水もあるし、よし、行くよ~~ポコ!」と、彼女はポコにリードを結びつけて、ポコといっしょに勢いよく玄関を飛び出した。
散歩コースは、いつもと同じ道。
埼玉県川口市の新芝川の土手の上をぐるっと1周するような形で散歩するのが恒例だった。そして、その途中にあって、いつも渡っている「ふれあい橋」までやってきた。
でも今日は、なんだか妙な嫌な雰囲気を橋の手前で感じとっていた冴子だった。
普段なら、勢いよく走り抜けていくポコも橋の手前で一度立ち止まって、振り返って「このまま行っていいのかな?」と問いかけるように冴子の顔を見つめた。
「ん?どうしたのポコ?橋、渡っていくよ」と冴子は話しかけてみたものの、冴子自身もなんだか前に進むことを躊躇してしまう。何かの予感というものだろうか。
冴子にリードを引かれたポコは、ゆっくりと前に進み始めた。
ところが、橋の半ばまで来たとき、霧のような白いモヤが広がってくるのを冴子は目にした。その白いモヤはみるみる濃くなって、まるで壁のように冴子の周囲に立ちはだかった。
ポコは怯えて振り返り、どうしたらいいの?と問いかけるような眼差しを冴子に向けた。「ポコ、戻ろう、やっぱり戻るよ」と話しかけたが、次の瞬間には冴子は、自分の意識が遠のいてゆくのを感じていた。
「あぁ、どうしたの、何が、いったい、なんで」と、薄れゆく意識の中で、冴子は奇妙な会話を耳にした。
「……サンプル回収……時空領域2568914……№……封鎖しろ……を急げ……早く!」
その瞬間、「ふれあい橋」の上には誰の姿も見えなくなっていた。
もちろん、柴犬ポコも。ただ、冴子の持ち物なのか1台のスマホが落ちていた。
冴子の自宅では、夕方の散歩に出かけるときは、防犯のために電気とテレビをつけたままにしておくのが習慣だった。テレビにはニュースが流れている。
「では、次のニュースです。今夜7時頃、橋を渡っている人が、渡っている途中で忽然と姿を消すという奇妙な現象が、数人に目撃されました。それは埼玉県川口市にある“ふれあい橋”と呼ばれる橋の上で……」
そう、この出来事は、これから始まる大いなる闘いの序章にすぎなかった。
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というお話でした。さて、この続きは……
人間が突然消滅する現象は、埼玉県川口市の‟ふれあい橋”で目撃されたのを最初に全国に広がっていった。当初は、テレビのワイドショーで取り上げられるくらいだったが、突然の行方不明者が2ケタに迫るころ、内閣情報調査室や防衛省情報本部までが動き出す事態となっていった。
さらにこの奇妙な現象は、日本のみならずほぼ全世界で頻発していることが判明した。そして今や一番最初に起きた ‟Fureai Bridge phenomenon” をめぐって全世界の科学者が現象の解明に尽力していた。
何か大きな力が動いている、人類の脅威が迫っている……世界中の人々がそんな暗雲のような不安に覆われている中、誰にも気づかれないほどの小さな、しかしとてつもなく大きな特異現象につながる出来事が起ころうとしていた。
しかし、誰にも気づかれていなかったその兆候に、ただ一人気づいていたまだ30代の若手理論物理学者がいた。彼は周囲からは「風変り」としか評価されていない科学者であったが、その論文の斬新さは誰もが認めていた。
彼は大学の研究室のデスクに座っていた。ボサボサの髪を右手でかきあげ、そのまま右手の小指を鼻につっこんで鼻クソをかき出して薄汚い白衣の端にこすりつけた。
そして、「あいつら、やっぱり来たか、かなり長い闘いになりそうだな……」と遠くを見るような視線のまま彼はつぶやいた。
とかなんとか、続きを書いてみましたが、たぶんこの先は続きません(笑)
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