夏が終わっていく。
夏が終わる間際のこの寂しさって一体なんなんだろうと毎年思う。
学生の頃、彼女がいない寂しさを夏の終わりに重ねて一人アホなほど切なくなっていた。
海岸で一人切なく黄昏ていれば、長い髪をした白いワンピースを着たちょっと年上の女性なんかに
声をかけられて、ちょっと大人な恋が始まる。。。そんなことばかり考えていた。
それは一向に現実になる気配などなく、
その一方でこんな気持ちはきっと今だけなのだろうと真剣に思っていた。
学校を卒業して14年が経った。
小学1年生は中学生になり、高校を卒業するほど時間が経ったけれど、
それでも俺は夏の終わりになると切なくなる。
通勤電車に揺られながら切なくなる。
今朝はそんな切なさを一遍の小説が良くも悪くもぐちゃぐちゃにしてくれた。
本谷有希子さんの「乱暴と待機」
おにいちゃんと妹・奈々瀬が繰り広げる四畳半屈折変態ラブロマンス。
毎年繰り返される夏の終わりの独りよがりの切なさを、
本谷さんはその舞台的な限定空間心理描写でドロドロにしてくれるのだ。
「人生って綺麗でしょ」ってドブ川を見せられるように。
これってブルーハーツ的だったりするのかも、いやいや言葉の遊びだ(笑)
森見登美彦さんのファンタジー世界を愛する俺にはたまに必要な毒っ気。
俺にはこれをファンタジーと呼ぶことはできないけれど。