今週、BBCのニュースを聞いていたら、エチオピアからまるでハリウッドのクライムムービーのような出来事が報道されていて、「glitch:グリッチ」という言葉が盛んに使われたので、もう二度とこの単語を忘れないなと思いました・・・。

「glitch:グリッチ」とは不具合のことで、よく機械やシステムの不具合という意味でつかわれる言葉です。「システムの不具合」とよく言いますが、それが英語では「グリッチ」。

 

このグリッチが起きたのがエチオピア最大の銀行、エチオピア商業銀行(この銀行はエチオピアの国立銀行です)のATM。この銀行に口座を持っている人がATMから自分の残高以上に好きなだけ現金を引き出せる!というマンガみたいな事態が発生。「銀行からお金を引き出せるぞ!」というニュースがSNSで拡散され、多くの学生達がATMからお金を引き出したのです。銀行側が気が付いて、ATMをストップするまでに数時間かかりました。それまでに、少なくとも4千万ドル(60億円くらい)のお金が不正に引き出され、1万人もの人がお金を引き出し、49万件もの引き出しがあったとのこと。ATMからお金を自由に引き出せるぞ!というニュースはSNSで大学生間中心に広がったため、ATMからお金を不正に引き出したのはほとんどが大学生だったとのこと。おいおい・・・。


この事件はATMを管理するシステムの不具合、「グリッチ」で起こったそうなのです。
いやはや・・・。システムの不具合で、ATMから好きなだけお金を引き出せちゃうなんて、逆にどういう風にすればそんなことが可能なシステムになるのか、教えてもらいたいわ・・・。犯罪者がそうしたいと思ってもなかなかできないことを、エチオピア商業銀行はやってしまったわけで。ハリウッドの犯罪映画でも、銀行のシステムにバグをいれて、ATMからお金を引き出し放題にしましたというストーリーにしたら、安易すぎて評価されないと思うけど。
 

エチオピア商業銀行のトップは当然のことながら、学生達にお金を銀行に返すように呼びかけています。返さないと犯罪者として訴えると。そりゃ、そうだろうなあ・・・。
ATMのシステムはおかしくなっていたけど、誰がいくらお金を引き出したかの記録は残っているそうで。


ちなみにこの「グリッチ」は、他からのサイバーアタックで引き起こされたものではなく、銀行内部のシステムの更新と点検中に「グリッチ」が起こったというコメントが出ていました。

ん?いや、どこかで、聞いたような・・・??そう、日本でも、頻繁にシステムの不具合、つまりグリッチを起こす某み●ほ銀行が、グリッチの起きた原因をよくシステム更新や統合だと言っていましたね・・・。でも、某み●ほ銀行では、ATMからお金引き出し放題という事態は起こっていないので、エチオピア商業銀行よりはマシなようです。


機械化、デジタル化、AI化といったって、その根本は人間が作るものだから、そこにヒューマンエラーの入り込む余地は常にあるのですよねえ・・・。
便利に、スピーディーになった世の中だけど、お金に関しては、多少不便や面倒を感じるくらいのプロセスがあってよいなあと、このエチオピア商業銀行の事件を知って思いました。デジタルの世界を完全に信用しきるのはアブナイと思いました。スマホで指先一つで送金とか、スマホやクレジットカードかざして片手で決済とか、便利は便利だけど、こういう便利さは、ユーザー側の利便をあげる目的だけで開発されているわけではないのですよねえ。金融機関側のコストカットや、私達の消費欲を促進する目的でも進められているものなので、お金に関しては便利さよりも安全性重視、ちょっとアナログでいきたいと思います。