英検1級をもっていようと、英語を毎日勉強していようと、英語のイディオムを網羅しているとはいえない・・・。

そう痛感したのがバキューム事件。

イスラエルがぶち切れた国連のグテーレス事務総長のバキューム発言です。

 

Hamas attack on southern Israel did not happen in a vacuum.

 

ん?バキューム?真空??

いえ、いえ、真空ではありません。

「in a vacuum」が英語の慣用句で、「それだけで」とか「孤立して」という意味だったのです。知りませんでした・・・。

「did not happen in a vacuum」で「それだけでは起こらなかった」ということになり、「ハマスのイスラエルへの10月7日の攻撃は急に勃発したのではなく、そこに至るまでにいろいろな事情があった」という意味になります。

 

このグテーレス氏のバキューム発言。世界中のニュースが取り上げ一斉に報道。

アメリカのメディアもイギリスのメディアもバキューム、バキュームと言っておりました。

 

このバキューム発言に、イスラエルは怒り爆発。国連の場でグテーレス事務総長を「あんたの発言はハマスのテロを正当化しているぞ!あんたはいったいどういう世界に住んでいるんだ?我々の住んでいる現実とは違う世界に住んでいるようだな!お前のせいで国連は役割を果たせていないぞ!お前、すぐ辞任しろ!」(私の意訳です。多少デフォルメあり)と非難しまくりました。

イスラエルはグテーレス総長との会議もイスラエルへの訪問もキャンセル。「辞任しろ。謝れ」の一点張りで「グテーレスはハマスのテロを正当化している」とSNSでそこら中に抗議と批判のコメントをあげまくっています。

いや~、イスラエル、怒っているわ・・・。

 

冷静にグテーレス氏の発言全部を確認すると、バキューム発言の前に「ハマスの行為は絶対に許されない。テロは許されない」と発言しています。ハマスが10月7日にイスラエルに行った攻撃はきちんと非難しています。グテーレス氏も後からメディアに自分の発言について聞かれて、ハマスの行為を正当化していないとコメントしています。

でも、その後に続いたバキューム発言が、イスラエルの逆鱗に触れてしまった。

言葉って難しい・・・。

母国語でも言葉使いが難しい時があるのに、母国語以外でのコミュニケーション、特に慣用句は難しいなあと思いました。

 

他にもイスラエルとハマスの戦争を停止、いや戦争は停止しないけど攻撃を停止するだけだと、この停止について「cease」と「pause」とでは言葉の意味が違うらしい。私にとってはどちらも停止ではないのか?と思うのだけど、「pause」の方がちょっとだけ止めるっていうニュアンスらしい。

いやはや、英語は世界の語学の中では一番簡単な言語だと思うけど、それでも言葉のニュアンスはなかなかネイティブレベルにはなれませんねえ。

 

イスラエルとハマスの戦争をしている当事者同士では、憎しみがぶつかりあって、矛を収めることはできないと思うので、仲裁に立つ組織や国が必要で、国連はその一つの可能性だと思うので、なんとかイスラエルとグテーレス氏が和解してほしいと思います。

 

私は今回、やっぱり年の功だなあと思ったのがアメリカのバイデン大統領の発言。

ハマスの攻撃を批判し、イスラエル擁護の立場を明確にしながらも、アメリカが911の報復の結果失ったものも大きかったことをあげ

 

「Do not be consumed by anger」

(怒りに取り込まれないでくれ)

と訴えました。

 

怒りや憎しみに襲われると、何も見えなくなる。報復や復讐しか考えられなくなる。

その結果の恐ろしさをバイデン大統領は警告しています。

 

これって、私達の日常の暮らしにもいえますよね。怒りを感じるのは人間自然なことなのですが、その怒りに自分が食われないようにしないと。

イスラエルの人達にも、バイデン大統領の言葉が届いてほしいです。