それから私はなんとも言えない体調不良と、眠気に襲われる毎日を過ごした。


気持ち的にはスッキリしていたけど、実は思いの他ショックを受けてるのかな?なんて思ってた。


失恋と季節の変わり目のせいだと決め付けて、生理が遅れていることすら気にも止めなかった。


七月。


突然耳鳴りがしたかと思うと、目の前が真っ暗になって、地面に体が吸い込まれるように倒れ込んでしまった。


職場だったので、職場の先輩が病院に連れて行ってくれた。


原因は『妊娠による貧血』だった。


それを聞いた瞬間吐き気がして、診察室を飛び出してトイレで吐いた。


鏡に映った自分の顔が、蛍光灯のせいもあり恐ろしいほど青白く見えて、後退りをして壁にもたれてそのまま座り込んでしまった。


先輩が来て私を立たせて診察室に連れ戻すと、先生が産婦人科の病院に紹介状を書いてくれると言った。


何も考えられなくて、自分の周りに膜が張られてるみたいな気分になった。
ゴールデンウイークに突入して、お互いに核心に触れずに毎日一緒にいた。


それまでうまくいってなかったのに、付き合い始めた頃のように過ごせた。


行き先も決めずにドライブをしているはずなのに、いつの間にか思い出の場所巡りになっているおぅちゃん。


切なくて、胸が苦しかった。


そして、ゴールデンウイーク最後の日、おぅちゃんは東京へ。


ハッキリした別れの言葉もなく、見送りにも行かなかった。


頭の中に入ってるけど、ケジメとしておぅちゃんの連絡先と、今までのメールも全部消した。


そして私達はお互いの道を進むことを決めた。
おぅちゃんは、ルーのパパ。


おぅちゃんと私は、高二の夏に付き合い始めた。


喧嘩もよくしたけど、周りに呆れられるくらい仲がよかった私達。


多分ずーっと一緒にいるんだろうなって漠然と思ってた。


おぅちゃんは東京の大学に行きたかったんだけど、落ちちゃって、一年浪人することになった。


私は地元で就職が決まっていたから、最初から遠距離は覚悟してた。


完璧主義のおぅちゃんは、自分を責めてた。


おぅちゃんの気持ちは痛いほどわかっていたつもりだけど、所詮は他人。


全てをわかってあげることは私には出来なかった。


今にして思えば、何て言葉をかけても、何をしても、あの時のおぅちゃんには意味がなかったんだと思う。


私はおぅちゃんにとってその程度の存在だったんだって思うと辛かった。


二人の仲がうまく行かなくなっていくのは時間の問題だった。


嫌いになる前に別れようと思った。


『別れよう』って言葉を中々言い出せずに、出掛けた花見。


先に口を開いたのはおぅちゃんの方だった。


「東京の予備校に通うことにした」


それは、遠距離なんかじゃなくて、別れを意味してる言葉だってわかった。


「いつ?」


「ゴールデンウイークが終わったら」


「そっか」


覚悟はしてたけど、やっぱりいざとなると辛かった。