​あーあー。


 急にキレたお客さんに電話で警察をよばれる。自分で電話をかけたくせに「もう良いや」と途中で電話を切ってしまう。


 すぐに警察から折り返しで電話がかかってくるも、電話をかけたおばあちゃんは「私電話なんかしていないわよ!どうしたの、知らないわ」という。


 あなたが警察に電話したんだ!といっても「覚えていない」と言われてしまう。「あら、大変ね。あなたが呼んだの?」よばねーよ、私は呼ばねえ。


 私が警察に言う。「何も起きていないので、来なくて良いです。」「そういうわけにもいかないので、電話を受けてしまった以上行きます。」えー来なくて良いけどな。


 なんかさ、コンビニのバイトあるあるでレジ下の応援ボタン(レジが混んだから他の店員来てー!ってやつ)押そうとしたら隣にあるALSOKのボタン押しちゃって、「来なくて良いです!」って言ってるのに「警備員が今から行きます!」とか言われてほんとに出動されるやつみたいな。仕方なく来てもらって「何も起きてないでーす」って言って帰らすあれを思い出す。


 警察に「行くぅ!」って言われるから、仕方なく「わかりました」と言い、、、住所を伝え待つこと5分。来ない。10分。来ない。


 来ねーじゃん。さっさと来いよ、日本の警察よぅ。緊急性ないけど、私のこの後の予定はあるからさ。15分。さっき暴れていた利用者さんはすでに大人しくなっている。


 20分。おい来いよ。警察に電話して「待てど暮らせど来ないなら帰りまーす。」と言う。「えっ、待っていてください。」と言われるので「次の用事あるので。緊急性ないので。」というと、「今◯◯の前だからもう少しで着くから待っててください。」と頼まれる。「帰りまーす」と言った瞬間、急に態度が丁寧になって草。


 いや来なさすぎでしょ。


 会社の人に「警察呼ばれました、ごめんなさーい」と連絡したら近くにいたようでその人の方が先に来た。警察よりも会社の人の方がはやく来てくれた。


 会社の人が「今から来る警察に駐禁とられないか心配っす」とか言ってくる。


 そうそう最近この辺厳しんだー、まったく駐禁キャンペーンでもやってるのかと思うぜ。この間も訪看の人が駐禁取られていてあれはかわいそうだった。


 「来ないっすねー」「帰る?」「警察シカトでいっか」などと言っているうちにようやくやって来た警察。もう少し急いだ振りして来いよ。緊急性ねえけど、それにしたってそんなに悠々と来るな。山奥じゃねーんだからさ。通報から20分後に到着は遅刻だわ。


 警察がお客さんに事情聴取。めっちゃ親切に話かけているけれど会話は噛み合わない。認知症状が強いから仕方ない。


 お客さんと警察が噛み合わない会話をしている横でテレビがついているのだけれど。「カスタマーハラスメントをする人の具体例として厚労省が作った資料に「認知症患者」があげられていた。これに市民からの抗議の声が届いたため厚労省は資料からこの項目を削除した。」などという、どこからつっこんだら良いのか分からないニュースが流されていた。認知症の人は悪くない。でもやっぱり対応が難しいのは確かである。


 大前提としてお客さんは悪くない。ふつーに家に入れてはくれているし、ふつーに施術に入ろうとしただけの私の対応もいつも通り。ただちょっと途中から激昂された。それは気分の波が激しいから仕方がない、これも通常通り。警察呼ぶよ!のフレーズも前からよく言っていた。利用者さんが呼びたいのなら拒否する理由もないので「別に良いですよー」と言っていた。そしたら本当によばれた。おい、呼ぶんかい。だからって電話はしたところで住所は言えない、私は呼んでいないなどという。事件は何も、起きていない。お客さんのご機嫌がが斜めだっただけである。まあ最近だいたい機嫌悪いから、機嫌が悪いことすらも通常通りでしかない。ああ何も起きていない。なのに警察が来るだとー。来なくて良いけどさ。来るならせめてさっさと来てくれないかい。


 通報をされたら対応しないといけない警察も大変だ。まあもう少しはやく来いよとは思うけれど。すぐ近くの交差点でいつも横断妨害見張ってる暇そうなパトカーがいるじゃんか。あいつを寄越せば5分で着くやろ。なんで20分も来ねえんだ。


 あーまあでもこれは反省点もあるさ。お客さんが電話を受話器あげた瞬間いちおうはやめさせるのが正解だったよね。「警察呼ぶよ!」と言われて「別に良いですよー」とかいった私が悪かったかなとは思う。行動を否定せず「好きにして良いよ」がいき過ぎたわ。さーせん、警察をお騒がせしてさ。


 「◯◯さん、わかる!?」「息子さんとケアマネさんが頼んだから来てもらってるんだよ!」と熱心に警察はお客さんを説得していたが効果はなさそうで。


 「ケアマネと親族に連絡をして、今後の対応の検討をしてください。」などという「そうですね」としか思えないことを言って警察は去っていった。


 高齢者向けに仕事をしているからお客さんは認知症の人が多い。対応は散々してきた。たぶん認知症への対応は私はかなりうまい。でも警察を巻き込んだのは初めて。もうあと一週間でこの仕事も辞めるのになあ。


 あちゃー。警察よぶわよ!って言われたら一応とめた方が良いんだなぁってことを学んだ1日でした。


 わし何も悪くないから呼ばれても困らねえとか思って「良いよ」とか言うとほんとうに呼ばれて警察にご迷惑がかかります。しかも本人自分で呼んだくせに覚えてねーのは困る。そして緊急性ないからって20分も来ない警察もどうかしている。


 でも誰も悪くないもんね。責める対象が見当たらないもんね。強いての反省ポイントは「だめー♡警察は呼ばないでっ!」って言えなかったこと。毎回毎回拒否強いからさ、流石に面倒くさくなって「警察呼ぶわよ」に「良いですよ」とか言っちゃったんだ。もう何ヶ月も毎週毎週宥めすかして笑顔をむけ続けて優しくしてるんだよ。気分で好き勝手なことを言われ続けるのもさいくら「認知症状あるから」「そういう仕事だよね」をさしひいても段々疲れてくるもんで。


 でもさー警察騒ぎでも起こさなければ「拒否強めだけど、毎回なんとか施術に入れてはいます」(依頼された以上こちらからケアマネに中止の提案は難しい)から訪問しないといけない状態が継続してしまうわけで。私はもう辞めるから良いけどさ、そうなると結局次の施術者に負担がいくわけで。


 極論をいえば、マッサージは受けなくても死なねえから、サービス中止で良いよってわけ。これが往診の医者とか「冷蔵庫の中の期限がやべえ食べ物を処分して!」というミッションが課せられているヘルパーだったりするとサービス中止は難しいから、「なに、最近◯◯さん拒否強いんだって?担当者変えて行かせてみる?どーする?」みたいなことになるわけだけど。


 だから今回の警察を呼ばれたおかげで、介入が難しかった◯◯さんは中止でとなると正直まあそれで良かったなーと思うわけな。


 あーそうなると起きた出来事が最善か。20分も来ねえから電話で催促してまで警察をお待ちした甲斐があったぞ。なんだよな「さっきお客さんに警察呼ばれたんですけど、何も起きてないんですけど、いちおう警察が来るっていうから待ってるけど来ねーから私次の用事あるので帰って良いですか?」ってよく考えたら意味のわかんねー電話をしたもんだよ。


 よし、雨上がったから家に帰るぞ。じゃねー人類。警察を呼ばれないようにテキトーに生きてねー。