キャラについてはこのくらいにして、そのほかの要素をまとめて書き連ねておく。

 

〇過去作との関連

今作は真Ⅲの続編といってもいいくらい繋がりがある。18年前の「終の決戦」はⅢで人修羅がルシファーに認められた後、唯一神と決戦に向かった結果と考えられるし、越水から「東京受胎」という言葉も出ている。また、イシュタルが使用している装置の名前が「ナイトメアシステム」であることからも、続編と解釈するのが自然と言えよう。つまり今作で主人公が迷い込んだダアトは東京受胎後に滅んだかつての東京で、その後に神の奇跡によって作り替えられたのが今の東京ということであろう。Ⅲに登場しているフォルネウスとデカラビアの会話では、デカラビアは待ち合わせについて記憶しているのに、フォルネウスが覚えていないという問題もあるので断言は出来ないが(もっともⅢのフォルネウスは人修羅に倒されているので記憶があいまいでも仕方ない)。まぁ、有料DLCで人修羅と魔人も来てるし、ⅢがリマスターされたのもⅤとの関係があるからって話しだろうけどもw

また、真Ⅰから登場している悪魔召喚プログラムやヴァーチャルバトラー(有料DLCのみ)、真Ⅳの「必殺の霊的国防兵器」やデビルサマナーシリーズの「造魔」と神造魔人の類似性なども見逃せない。今作エンディングでの女神が主人公を王座へ導く場面は、アバタールチューナー2のエンディングにおけるセラフとシュレディンガーを想起させるなど、過去作をプレイしているとニヤリとする場面も多い。今作が初メガテンという方はこれを機に過去作にも触れてもらえると嬉しい。

 

〇オープニングの声は何者か

オープニングから、タイトルまで出てくる謎の男女の声。これについては今作の中で正体は明かされないが、おおよそ推測は出来る。今我々が住んでいる世界は、宇宙のほんの一部に過ぎず、同じような世界がこの宇宙に数えきれないほど存在し、生まれては滅び、また生まれ変わるということを繰り返している(これを今作では「マンダラの法則」と呼ぶ)。この宇宙を生み出した存在が、今シリーズでは「大いなる意思」と呼ばれており、この男女の声の主は恐らくこの「大いなる意思」に近しい存在であるといえる。他にも今作では創世を見守る存在であるアミターバ(悟劫)や、女神(タオ)、ソピアーも「大いなる意思」側の存在であろう。今作ではこの世界の法則から脱却しようとしたルシファーが、自ら唯一神を倒して事象となり、事象となった己を主人公に倒させることで、世界を輪廻から脱却させ作られた世界を永遠にするというストーリーであったが、この結末について「大いなる意思」が動きを見せるのかは謎のままである。

 

〇なぜ「縄印学園」は悪魔に狙われるのか

ダアト(魔界)から侵入した悪魔が人間を襲うことから物語は始まっている。特に主人公たちが通う縄印学園の周辺で事件が集中し、その後ラフムが増浄寺の結界を破った後襲撃されるのも縄印学園である。その際悟劫や越水は「やはり狙われたか」という趣旨の発言をしていることから、狙われやすい要素を持っていることは想像できる。

ではその「要素」は何か。ひとつ仮説を述べるとすれば「古き神々の知恵を持つ人間が集まっているから」ということだ。もちろんストーリーの都合もあるとはいえ、スサノオ(主人公)、ツクヨミ(ユヅル)、アブディエル(イチロウ)、コンス(ミヤズ)、ラフム(サホリ)と神の知恵を受け継ぐ人間が集まっている。また品川でのアブディエルの発言からアトゥムやバアルの知恵を持っている人間も縄印学園の生徒であったと思われる。全校生徒の人数からの比率等は不明だが、それでも名のある神々の知恵が集まっている気がする。となればこれは意図的に集められたのではないかと推測される。その人間がどの神の知恵を持っているかは、その神にしかわからないというが、それでも「誰かの知恵は眠っている」ことは感知できるようなので(終盤の越水とイチロウの会話より)、それは可能であろう。学園内のNPCの「縄印学園は名門なのになぜイチロウのような奴が入学できたのか」という内容の会話から、学業等のレベルでは縄印学園の生徒におおよそ相応しくないイチロウも「知恵を持っている」がゆえに資格があるとして呼び寄せられたのではないかと考えられる。

では彼らを集める目的は?考えられるのは二つ。有事の際、彼らを守るため。もうひとつは有事の際、彼らをまとめて始末するため。ベテルは神のしもべ。神の禁じたナホビノを断じて許さない。だとすれば後者の目的で集められた可能性が高いと言えよう。

 

〇気になる不在の神について

今作で登場しない神で気になるのは二柱。一柱はアマテラス、もう一柱は将門公である。アマテラスは言わずと知れた「三貴子」の一柱で天津神で最も重要な存在である。そのアマテラス不在なのは気になる。同じく不在のスサノオは神造魔人アオガミとして登場するものの、アマテラスについて登場しないどころか一切触れていないのは、続編の伏線なのだろうか。

そして将門公である。メガテンシリーズには不可欠な存在ともいえる将門公。今作ではサブクエストで四天王が登場するので「もしや将門公も?」と期待したが現時点では確認できていない。ストーリー的に入れられなかったとしても、サブクエストで将門公と相対する事は出来たような気もするが・・人修羅をDLCで出す以上「どちらが最強か」という問題が発生するからであろうか?次回作では将門公にもお会いできると嬉しい。

 

〇他のアオガミはどこへいったのか

ベテル日本支部では古の神造魔人の技術をもってアオガミ型を複数生み出していたようだが、主人公は作中他のアオガミ型や神造魔人には遭遇していない。日本支部の戦力不足を鑑みれば量産できるのであればそうした方がいいのだが、そうしていないことを考えると量産は出来ない上、終の決戦で全滅したと思われる。もしかしたらアマテラスや他の天津神の神造魔人もそこで全滅したのかもしれない。ダアトの各地にはアオガミの力を宿した「写せ身」が落ちているが、他のアオガミ型が活動停止した場所がそこなのかもしれない。アオガミ型のラストナンバーが主人公と合一してナホビノとなり、他のアオガミ型の写せ身から力を受け継いでいると思うと感慨深いものがある。