不思議なタイトルに惹かれて、手にとりました。
中を開いて、一文目から「僕は捨て子だ。」という衝撃的な文で始まり、びっくり。ついつい読み進めてしまって、結局購入。
家でじっくり読む。
瀬尾さんの本は一冊読んだことがあるのですが、この方は独特の世界というかテンポを持っていて、いいですね。キャラクターもしっかり作られているので、強烈に心に残る。なんだか私の中ではよしもとばななさんとこういう点で重なりますね。作風は違いますが。
登場人物があまり多くないのもいいですね。
で、物語の感想。
表題作は、親子の会話とか関係がすごく素敵。主人公のぼくがまっすぐで、でも繊細で(子ども特有の残酷さやずうずうしさがない感じ)前向きで、賢くて、とても魅力的です。
周りの人たちも自分の物の見方を大事にしている人が多くて、自分と照らし合わせてみると、「私はなんて自分に嘘ついたり、合わせすぎて疲れているんだろう」と思うことが多くて、もっと自由になりたいと思いましたね。自分を他人の迷惑にならないよう、うまく自然体で出すって難しいですよね。でもそうなりたい。
もうひとつ収録されていた「7's blood」は、女子高校生の女の子七子の視点から描かれているので、幾分か思春期特有のわけもないイライラ感を表現したところもありましたが、でもやはり全般的に、彼女は世の中を冷静に見て自分の芯を持っているなと。そして異母弟の七生はまだ小学生なのに、もっと世の中を冷静に見ていて(そうならざるをえなかったんでしょうが)ぐいぐいキャラクターにひきこまれていきました。
せつないお話でした。
七子と七生が二人でバースディケーキを食べる場面と、外にパジャマで旅行にいった場面がお気に入りです。
二つの作品に共通しているのは、どちらも家庭環境からいって、卑屈になったり、道を外してしまったりって展開を予想してしまいがちなんですが、全然そうならず、みんなつつましく小さな幸せを暖めあって共有している感じがいいなと思いました。
瀬尾さんは現役の中学校の国語の教師です。
色々な子どもを見ていることでしょう。希望や自信に満ち溢れた子もいることでしょう。でもその反対に荒れた子どももいるかもしれません。どん底にいる子、淡々と痛みに耐えながら生きている子、強がっている子、無気力な子…。
そんな子どもたちを見てきたからこそ描ける、人間の中にある美しいものをキャラクターとして表現しているのかなと思いました。
ちょっと深読みし過ぎの考えかな…?