考えたいこと、此れあり! | 遠藤夏輝オフィシャルブログ by Ameba

考えたいこと、此れあり!

福島原発……。毎日繰り返される政府の発表はあまりにも矛盾点が多い。

たとえば、「直ちに影響はない」というが、直ちに、とはいつか、など……。


政府の発表とはかなり違う情報が入ってきたのは、18日だった。某テレビ

局のプロデューサーから、来週中に原発の処理が上手くいかなければ、

かなりヤバい状況になる、と……。

すでに東京から退避している人もいる。有名なコメンテーターも逃げたとか、

原発の設計士は手に負えないという判断で逃げた、と教えてくれたが、未確

認情報だったので、ブログには書けなかった。

「俺も逃げようと思っている」と言うそのプロデューサーに対し、自分のことし

か考えていないそいつの物言いに、腸が煮えくり返った。


それから東京の人の買いだめがはじまり、東京から避難していく人が増え

ていった。その時点でまだ俺は、本当の被災地は東北や原発のある福島

などであって、東京ではないという認識でいたから、東京から逃げていく人

は卑怯者。買いだめするなら、東北の被災地に送るべき、などの記事をブ

ログに書いた。


その後、原発の作業員や東京消防庁のハイパーレスキュー隊や自衛隊は、

命懸けで見えない敵と懸命に闘っていたが、福島原発は最悪なシナリオに

向かって、刻々と進んでいた。そのプロデューサーの言う通りになっていく。


24日……。実際に福島原発で、必死の作業にあたっていたある部隊の幹部

からメールが届いた。その人物は自分の所属する部隊や階級、名前など、

はっきりと書いてあった。正体を明かさないということで、一部を紹介したいと

思う。


「……いつも遠藤さんのブログを見させていただき、心打たれることが多くあ

ります……。私が言いたいのは以下の2点です。

①被災地の者が退避あるいは食料等を買い溜めする行為について(被災地:

東京周辺等、今後、放射能汚染等の被災が予測される地域を含む)
……遠藤さんの記を読むと、「現在決定的な被災を受けていない東京周辺の

都民・県民も現地に行って支援すべき」「被災民を見捨てて逃げる行為は卑

怯である」「自分たちが補う燃料・食料等を被災地に回すべき」と受け止めてし

まいました。私、現地で活動する者として、今より更に別地域で被災民を増や

すことは決定的に被災している地域への支援隊力の重点指向のために絶対

避けなければならないことだと思います。また、私も根本的な考えは遠藤さん

と同じですが、今、東京周辺の都民・県民ができる最大限の支援は何かとい

うものを国民一人一人が判断して行動すべきだと思っています 。その中で、

東京周辺の都民・県民が救援募金、浪費防止等持てる支援能力を最大限発

揮することは遠藤さんも言っているとおり当然すべきことであり、被災地に救

援物資を送る輸送力がある国家機関・企業等があるならば、すべきだと思い

ます。しかしながら、中には、支援基盤を確立するために、一時的に退避する

者、これ以上被災を増やし決定的被災地に対する支援隊力不足を避けようと

退避する者がいることは理に叶っていることと思います。また、何時いかなる

状況においても死を覚悟して活動している我々のほとんどの家族は、安全な

場所に退避させる等、後顧の憂い無く任務遂行できる態勢を確立しているの

が現状です。救援物資を一つでも多く被災民に与えるためにということを、

遠藤さんには認識していただきたいと思います。


②消防隊員に対して海江田経産大臣が「作業をしなければ処分する」と発言

したことに対して……消防隊員のみならず、自衛官である公務員は、与えら

れた任務を遂行することは規則で定められているとおり責務であり、国民・市

民の税金で訓練や生活をしてきているわけですから、負託に応えることは当

然です。従って、海江田大臣は当然のことを発言したものだと思ってます。

しかしながら、海江田大臣が消防や自衛隊に当該任務を遂行できるだけの

訓練等基盤を与えたか? その実態を確認・指導した上で、あのような発言

をしたのか? が疑問です。おそらく、遠藤さんが言うとおり、彼には現場(現

地の被災状況の細部及び復旧にあたる部隊の能力)の認識が無いものと容

易に想像できます。海江田大臣にも非はあると思いますが、有効な情報提供

や意見提供をしないで大臣に発言させてしまった都知事や消防庁やその他の

国家機関にも非があると思います……」


という内容で、俺はある意味カルチャーショックを受けた。現場で任務にあたっ

た者たちは、本当に死を覚悟していたのか、と……改めて認識した。そして、国

家公務員なら、危険な任務でも遂行するのは当たり前……。きっと海自で任務

についている息子も同じ考えなのだろう。と思うと複雑な心境であるが、国民の

税金で生活しているのだから。と考えれば確かにそうだ。しかし俺は同じ人間と

して、という見方をしてしまうので、その言葉には胸を打たれた。

「決定的被災地に対する支援隊力不足を避けようと退避する者は理に叶ってい

る」本当にそういう人ばかりなら、俺はその人たちに頭を下げて謝る。しかし果た

してそうなのだろうか。買いだめした人は、本当に必要な乳児や小さな子供たち

がいる人たちばかりだろうか。自分たちの都合で退避した人が、ほとんどではな

いだろうか、そう思ってしまう。


俺は返信した。

「基調な情報ありがとうございます。そして危険な任務についておられることに

感謝し、敬服いたします。あなたが言っていることはもっともだと思います。そし

て俺自身の持っている情報も、実際はもっと危機的状況であり、政府は真実を

明かしていないことも分かっています。西の方に退避している人も実際にかなり

いることも承知しています。しかしながら、ブログで真実を明かすことが果たして

いいのだろうか、という葛藤を日々しており、中途半端な文面になっていることも、

自分で歯痒く思っています。顔も出ずに、一般のブログであれば言いたいことを

ズバッと書けることも、名前があるばかりに、差し障りのない内容になってしまう

ことを、お察しください……また、流せる情報があるなら、確実なところを教えても

らえると助かります……」


「私が言いたかったことは全て遠藤さんは認識されていたことだとわかりました。

ですので、遠藤さんがブログで記していることは、間違ってはいませんし、遠藤さ

んとして知り得たあらゆる情報の中で判断をされて掲載しているものですから、

続けてもらいたいと思います。実際、遠藤さんが言う相手という者が存在すること

は確かですから、原発の状況については、上層部が状況判断するための情報は

入ってこないのが現状です。また、危険な任務を遂行するにあたり、任務遂行を

躊躇させるような情報を入れないことは今も昔も変わりありません。更に、我々に

原子力を分析する能力(機能)がないため、遠藤さんが欲する真実を伝えるのは

難しいかもしれませんが、できる限り多くの現場情報を真実として、遠藤さんに伝

えようと思います……」


東北地方が地震による最大の被災地には変わりはない。しかし、福島は地震と

原発。そして関東は、大きな地震の被害はなかったにしても、今は見えない恐怖

に襲われている。そういう意味では、東京も被災地なのだ。ということを認識せざ

る得ないだろう。


原発のことは、あまり知識もないのに、このブログで書くことは、必要以上にみん

なの不安を煽ることになるので、それは避けたい。しかしながら、政府の後手々々

の対応は、いかがなものか。もっと早くからフランスやアメリカなどに協力要請を

頼んでいれば、こんな時間も懸からなかったのでは。こんなに大きな被害もなか

ったのではないか、という思いは否めない。


また何か情報があれば書きますが、ブログのあり方についても色々と整理し、考

えてみたいので、少しのあいだブログをお休みしたいと思います。



遠藤夏輝