役者への道! | 遠藤夏輝オフィシャルブログ by Ameba

役者への道!

今まで、出会うなんてことはできなかった役者の人やミュージャンの人

たちと会ったり、仕事も一緒にできるなんてことは、思いもよらないこと

だった。違う意味でバッドエンジェルスを結成して、原宿に拠点を置いて

よかった、と本当に思っていた。


表参道のたまり場にしているカフェド・ロペの前にいて、ふと横を見ると、

ジュディ・オングさんが、普通の人のように立っているし、表参道を歩い

ていれば風吹ジュンさんが歩いているしで、舞い上がっていた。


タレントとか女優とか、まったく興味がなく、誰かのファンだという感覚を

持ったことはなかったけど、風吹さんが歌手でデビューしたときは衝撃

を受けた。当時付き合っていた彼女(恵里子)も、どっちかというと風吹

ジュンタイプだったし、俺はこういう顔が好きなんだ、と思った。

その憧れの人が、目の前から歩いてきたときは、さすがに心臓が高鳴っ

て、思わず、「こんにちは」と声をかけてしまったぐらいだ。

バッドエンジェルスの格好で、もろ不良という感じの俺に、笑顔で「こんに

ちは」と返してくれた風吹さんは、今でも目の裏に焼きついている。


いつか俺の書いた脚本で、風吹さんに出てもらうことは、夢の一つかな。


俺はスカウトされてから、日本テレビ音楽学院という、役者や脚本家の

養成所の学校に行かされた。もちろん役者のクラスで、入学金も月謝も

一銭も払わず、ただ通うだけの恵まれた環境だった。


日曜劇場とかのテレビドラマで、暴走族役で出たり、バラエティ番組で

ダウンタウンブギウギバンドと、一緒に仕事をさせてもらったりしていた。


俺をスカウトしてくれた故川谷拓三さんのマネージャだと思っていた人は、

実は事務所の社長で、中条きよしさんも所属していた。入学金も月謝も、

事務所から出ていたんだと思う。

その人にあるとき、

「キミは二枚目の顔でもない。背も高いわけじゃない。だから性格俳優で

いくしかない。芽が出るのは26、7歳だろうな」

と寿司屋のカウンター席に、並んで座って言われたときは、

なに言ってんだこのオッサン。冗談じゃねえ……と内心ムッとしていた。

「脇役でいくしかないから、みっちり役者の勉強をしなさい」


今まで、何をするんでも頭に立ってきた俺が、なんで性格俳優なんだ。

だいたい性格俳優ってなんだ。それすら知らなかった。脇役? ふざんけ

んじゃねえ。6年も7年も我慢なんかできるか。そんな反発しかなかった。


いま思えば、なんて傲慢で、勘違い野郎だったのだろうか。俺はどうしょう

もないバカだった。


いくら二枚目でカッコよくても、まわりにいる脇役たちがいるから引き立つ。

脇役によって、その主役が光る。ということも何も分かってはいなかった。

どれだけ、脇役が大切か、ということが……。


そもそも20歳前後の俺は、役者になるなんて目標もなく、辛抱するなんて

性格でもなかった。ただ、スカウトされたことに満足していたのかも知れない。

それでも、なんだかんだと1年以上は通ったのかなぁ。

その間にバッドエンジェルスで、小説にも書いてあるけど、色んなことが起

こりだした。


ついに、日テレ学院のある先生に言われたことにキレてしまった。

「役者になるなら、どんな役でもこなせないとダメだな。キミのはワンパター

ンなんだよ!」


「当たりめえだよ。普通の役なんてやる気なんかねぇし。俺は松田優作み

たいな役者しか考えてねえから!」

と啖呵をきって、日テレ学院をやめてしまった。


いま考えれば、俺はホンとにバカだった。お前は何様のつもり、って感じだね。

せっかくのチャンスを、自分の手で潰してしまったんだ。辛抱も我慢もできな

かった俺は、役者にはなれなかった。


この頃、バッドエンジェルスが最大の危機に陥り、役者になるなんてことも、

俺の頭の中からすっかり消えてしまった。


そもそも人前で演技をするなんてことは、俺には合わない。その考えは、

脚本を書いている今でも同じで、演技をすることよりも、その元を頭の中で

考え、映像を浮かべ組み立てていく仕事のほうが合っていると思う。


人生って、なんでもやり続けることが大事なことで、辛抱も必要だということ。

でも若い頃って、そんなことすら分からなかった。

分かっていれば、また違った人生を歩んで来ただろうし、これも人生ってやつ

ですね。役者への道に行かなかったから、今があるんだろうし、どっちがよか

ったのかは、今となっては分からない。でもはっきり言えることは、役者になっ

ていれば、今の俺はいないということです。


人生って色々だけど、死ぬまでこれで終わりということはない。

諦めなければ、何度でもやり直しができる。これは絶対に言えることです。


俺はその信念で頑張っている。ただそれだけです。



では、またパー