東海道五十三次の旅 5
伊勢神宮に着いて、ブラブラ歩きながら参拝した。
伊勢神宮には、太陽を神格化した天照大神と、
衣食住の守り神、豊受大御神を祀っている。
またブラブラと、バイクを停めた場所まで歩く。
何かを見つけたのか、4人はどこを見ている?
そして、このあと、ツッパリ風の数人の若者が、
「あっ、岩城だ!」と騒ぎ出した。ヤバイ、岩城さんが
一番嫌いなことを言っちゃった……。
俺の出番か……いつものように岩城さんの前に立つ。
「お前ら歳上の人を呼ぶときはな、さんをつけるんだよ!」
背中越しに、岩城さんの声が飛ぶ。いつものことだ。
「すみません、岩城さ~ん」笑みを浮かべて、言い直す若者たち。
「お前ら、素直じゃねえか」
岩城さんも笑みを浮かべる。俺は苦笑い。
今まで、岩城さんがそう言って、言い返してきた奴はいない。
そういうとうころは凄いと思うし、得な人だなぁ、と思ってしまう。
恐いというキャラが浸透しているからね。
ちなみに、俺はボディガードの役目だけど、
そのボディガードの意味はちょっと普通のとは違う。
岩城さんを守るというよりも、岩城さんが手を出す前に
先にやってしまうボディガード。そうしないと、血の雨が降る。
岩城さんが一度切れると、止らなくなり、止めた俺たちまで
ぶっ飛ばされてしまう。だから、相手のためのボディガード
みたいなところもある。変則型ボディガードと言っていた(笑)
「次はホテルだな? 俺、腹減ったよ」
「またですか? さっき団子食ったばかりじゃないですか。
だから燃費悪いって、岩城さんに言われるんですよ」
そんな会話をしているのか? 忘れたけど。
普段はけっこうヒョウキンなのに、バイクに跨るとクールになる。
まるで“こち亀”の白バイに乗っている本田状態だ。
さ~て、今夜の宿で、美味しい料理が待っている。
でも、その前にまずは温泉。岩城さんは長湯で、
1時間はタップリ入るので、それに付き合うのはかなり大変。
今まで、後輩たちの何人もが、ノボせてぶっ倒れた。
つづく
では、また