この頃のにゃーの精神状態は最悪だった。
最悪なのに強がる。大丈夫だと自分に言い聞かせる。心が「頼むからもう休ませてくれ」と懇願して身体にまで症状を出しているのに全部無視する。

にゃーの身体の中がひとつの会社だとしたらパワハラ通り越して奴隷案件だ。

過呼吸も心因性の心臓発作も、耳鳴りも頭重も頭痛も胃痛もにゃーにかかれば「気の所為」で終わる。


那津「にゃーにゃはどうなん?」

俺「どうもこうもあるか。何でいつまでも仕事させてんだよ。もう隠れなくて大丈夫なんだろ?お前らが養えよ。それくらいはしてもらっただろうが」

那津「言うてるねん・・・」

俺「聞きゃしないか。そりゃそうだわな。」

那津「はよ・・・」

俺「?」

那津「はよ結婚させて子供産ませたい。にゃーにゃににゃーにゃからの血縁関係作ってやりたい。にゃーにゃは自分より上の血縁関係忌み嫌ってるからこそ。」

俺「子供・・・」

この時は・・・鬼かこいつは。と思った。
生きるのギリギリの人間が子供生み出す?そんな体力が何処にあるんだと。

那津「無茶なん解ってるねん。やけど、このままやとこっちの連中とかにゃーにゃが顔知ってる奴1人死ぬだけでもうにゃーにゃは折れそうやねん」

俺「なっちゃんが結婚出来ねえのは解ってるが、だったら子供孕ませれば?事実婚でもいけるだろ。籍が入れれねえってだけで」

那津「それやとあかんねんって!」

俺「何で」

那津「もうあの家の苗字から解放してやりたい。本籍も移してやりたい。俺が言うのもあれやけども母親が毒親過ぎるわ。何も・・・にゃーにゃの事を何も見てへんかったくせに今更何やねん。」

泣きながら俺に訴えかけた。
落ち着かせて事の経緯を聞いた。

あー・・・なるほど、毒親だね・・・

俺「今の彼氏は?」

那津「そもそもギャンブル好きに渡すわけにいかんし・・・てか苗字一緒やねん」

俺「oh......そりゃまた凄い偶然だな」

那津「本籍変わったとしても苗字変わらんなら何か家から解放された気なれへんやん。多分。」

俺「俺が・・・貰おうか?」

那津「は?お前、愛衣と魅音居るやん。愛衣は娘みたいなもんやとしても魅音とできてるやろ?」

俺「さあねぇ、その辺深い事情あるんだわ。」

那津「それがあろうがなかろうが、あかんで。そもそも一般人やないと結婚させる気ないで。本家と切っても切れへん関係作り上げてどないすんねん」

俺「確かに。まぁモテるだろ、にゃーは。」

那津「モテるで。寄ってくるんしょうもないのばっかやけど」

俺「気持ちわかるが長い目でお前が見守ってやらねえと結婚出来るもんも出来ねえだろ」

那津「せやな。とりあえず、それまで死なせんなよ!精神的な部分で!ほなまたな」

無茶を言う。心だけなら死んでるんだよもう。
お前らに対する守る気持ちだけで生きてる奴なのに。

・・・なるほど、それを我が子に向けたらどうにか生きてくれるかとってやつか。安易だし無責任だが、無責任に産んだからといって、無責任な親になる奴ではない。

結婚・・・出産・・・真面目に考えてみるか。