観光地の多くは、とある人と行ったことがある。長い付き合いだったし、お互い旅好きだったから。
出かけようと思うたびに、あそこに行くと何かを思い出してしまうかもしれない、という躊躇がつきまとった。
でももう平気だ。
むしろ、どんどん出かけて上書きしていこう。
過去に結びつく場所を、どんどんなくしていこう。
いや、本当は過去に結びつく場所なんてもうないんだ。単に、私が臆病すぎただけ。過去は過去。突然現在に立ちあらわれて私を途方に暮れさせたりなんかしない。
もう、顔だってうまく思い出せないくらいの場所まできたのだから。