気持ちを紛らわせてたくて、好きな小説やマンガを読み返す。
私が好きなのは、胸がぎゅーっとなるような、切ない話。
しばし現実からトリップしああ切ない…と涙を浮かべて、ふと我にかえる。
おかしくない?
苦しくて切なくて涙が流れてしまうような現実から逃れたくてしている行為なのに。
結局結果が同じじゃないか。
しかも、現実は虚構の世界よりももっとずっと切実に、もっとずっと抉られるように、もっとずっと深いところまで、胸がぎゅーっと痛くなる有様なのだ。
虚構の世界で甘く浸るのと、現実に遭遇するのでは何がどう違って何がどう同じ作用なのか。
まったく人間っておかしな娯楽をもつものだ。