久しぶりに、自分ひとりで自分のために映画を観ました。

とっても良かったです!

 

アカデミー賞受賞した「Coda コーダ あいのうた」

フランス映画『エール!』のリメイク版だそうです。Amazonプライムでも配信されています。

(※PG12指定。お子さんと観るときは要注意!)

 

 

ストーリー(公式サイトより)

豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聴こえる。陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意をし・・・。

 

以下、ネタバレにならない程度に私の感動ポイントです。

 

〇両親と娘(主人公)の関係

主人公のルビーは、純粋な気持ちで夢を追いかけ殻を破って成長しようとしている。

でも、親にとっては小さいころのままの可愛い娘。

夢を語るルビーにお母さんがつい言ってしまうひとこと、「反抗期なのね」に心が痛む。

お母さんには悪気がないこともわかるけど、わかりあえなさ、通じ合えなさに絶望するルビーの気持ちに強く共感。親の言葉が子どもに与える影響は大きい(自戒の念をこめて)。

 

〇V先生との出会い

ルビーの恩師となるV先生は、親が気づかなかった美点を見出し育むという点において、ルビーの人生にとって重要な役割を果たす。

映画では、「親が気づかなかった」理由として、「聴覚障がいのある親/歌の才能をもつ娘」というわかりやすい構図があるけれど、親なのに(親だからこそ)子どもの才能に気づくことができないというジレンマは普遍的であると思う。

 

〇V先生の職業選択と人生

V先生はメキシコ出身、バークリー音楽大学を卒業後に高校の音楽教師となる。

もしかしたらV先生は望んだ職業には就けなかったのかもしれないけれど、教師という仕事に誇りをもっている(あるいは、もとうとしている)姿に胸打たれる。

 

〇持てるもの/持たざるものの分断

健常者は強者であり、無意識のふるまいが時に障がい者を傷つける。

この構図が、ルビーの家族の生業である漁業においてもみられる。

持続可能な水産資源利用という大義の下で、零細漁業者は財産や権利を脅かされており、強者と弱者の関係性が顕在化する。ルビーのお父さん、お兄さんの悲しみや苦しみが重層性をもって伝わってくる。

 

〇マイルズとの恋

キラキラー!キュンキューン!ではなく、不器用にぎこちなく進んでいくマイルズとの恋。

特殊な家族環境の中で必要に迫られて大人にならざるをえなかったルビー、少々無神経で幼くみえるマイルズ、の対比はなんだかリアルでした。

 

シンプルなストーリーでルビーの歌声は美しく、年末年始に観るのにぴったりだと思います。

おすすめの映画です指差し