もみじちゃんへ
貴女が逝ってしまってから一ヶ月がたちました。長い長い一ヶ月でした。
今でも空っぽのゲージに、行ってきます、ただいま、と呟いてしまいます。
寒い日が続くと、冷たい土に埋まる貴女を思い出します。一人冷たい土の中。どんなに寂しいことでしょう。
思えば貴女は賢い子でした。
無駄吠えもせず、待ても伏せもちゃんと出来る子でした。ただひとつ手を触られるのが嫌いで、お手は最後まで出来なかったね。お手を覚えさせようとしたら、ゴロンを覚えてしまったり、今になればそれも楽しい思い出です。
最期の晩、足に力が入らない貴女の口許にご飯を持っていって、私の手からご飯を食べてくれたことがせめてもの救いです。
何度も体調の異変があっても、不死鳥のごとく元気になった貴女だから、今回も元気になると思い込んでいた私は愚かです。あれはとても寒い日の朝でした。朝起きたら冷たくなっていた貴女を、せめて暖かい部屋で寝かせてあげたかった。
貴女が残していったものは思い出だけで他には何もありません。急かすように埋葬され、爪のひとつも取っておけなかった。それだけが心残りです。
残ったままの餌、トイレシート、ウェットティッシュ、ビニール手袋、ごみ袋、いつもの光景から貴女だけがいない。不思議な感覚です。
最近、私は笑うようになりました。
そして気付くのです、ああ私笑ってなかったなと。でも、それは貴女がいなくなった心の傷が消えたわけではなく、ただ時間がたっただけだと。この傷はずっと消えないと思います。時間が解決してくれるとよく言うけれど、それはまやかしでただ感情が麻痺してるだけなのです。
世界中の誰もが、君を忘れ去っても、ずいぶん老けたねって、今日も隣で笑うから、僕の下らない表情や仕草で微笑んだ君がいるから。
この曲を聞くと、貴女を思い出さないことはありません。昔の写真を見ては日に日に年を取っていく貴女を愛しく思います。
まだまだ貴女を忘れられそうにありません。
夢でいいから会いたい。
また、ここに、会いに来るね。