その世界は、終わりを迎えようとしていた。

 

 

神殿は崩れ去り、すべては消し去られようとしていた。

人々はただ戸惑い、逃げまどい、祈りをささげる者もいた。

 

 

とりかえしがつかない。

もう、とりかえしはつかないんだ。

 

深い諦めと、胸が引き裂かれるような後悔と悔しさ。

 

 

私は”また”大切な人を守れなかった。

 

 

 

 

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母親だったこともあるし、兄弟がいたこともある。

 

でもこの星で一番強く残っている記憶は・・・いや、あれはこの星だっただろうか、わからない。

 

でも、とにかく私はある人に仕えていた。

 

心優しく、真から強く、美しい人だった。

 

 

 

 

美しい、人だった。