先日、和合小学校ではと5年生の授業で炭焼きをした。

 

5年生のTくんの家にはうちと同じでガス台がなく、

炭で毎日料理をしているので、

炭は暮らしの必需品だ。

 

Tくんは低学年の頃から、自分で炭を作る計画を立てていた。

そして、ついにそれが実現することになった。

 

 


うちは薪ばかりで炭をほとんど使ってこなかったので、

炭や炭焼きについては、これまで正直気持ちが向いていなかったが、

今回せっかくの機会だし、点火の時に見学に行くことにした。

 

ちなみに、笑’は4年生なので

娘のクラスの見学ではない。


和合小学校では、授業参観でなくても、

このような見学者をウェルカムしてくれる。

 

この日、私のように興味をもって集まった保護者は他にも2人。

 

 点火の時は学校中の子ども達合わせて7人と、

先生方も全員顔をそろえた。

 


 炭焼き窯は、用務員のIさんが作った。

Iさんは70歳半ば過ぎ。

和合育ちの元大工さんだ。


点火する前にどのようにこの窯を作ったのかを聞かせてくれた。

 

窯の作りをみてみると、

囲いの丸太の固定に鉄芯は使ってあったが、

なるべくお金をかけないように、

ブロックを使ったのは焚口だけで、

窯本体はドラムカン、

窯の囲みも丸太や石を使い、

屋根は古い看板などありあわせのものを駆使してあって、

Iさんの工夫がよく解った。


 あちこち覗いて全体の構造を見たJirが、

「どうしてこんなに煙突が短いんだろう?」と言ってきた。

 

そうなのだ。

窯から上に伸びて見える煙突部分は、目検討で1尺くらい。

うちで使っているお風呂やかまど、ストーブなどに比べたら、

ダントツに短い。

煙突が低いと煙が吸い込まれずに薪がうまく燃えていかない。

煙突を伸ばして成功した経験が

かまどでもストーブでもあった。

 

Jirが直接Iさんに聞いたところ、

焚き物がよく燃えて窯の中が高熱になりすぎると、

炭にする薪が燃えてしまって灰になってしまう。

そうならないように煙突の長さを短く調整する

という答えがかえってきた。

 

なるほど~。それで納得♪

 

 

「ただこの長さでうまくいくかどうかは、

 やっぱり実際にやってみんとわからん。」とニヤリ。

 

Iさん自身もこの窯を作るにあたり、

地域に残る炭焼き窯を実際見に行ったり、

かつて炭焼きしていた人の話を参考にしたそうで、

煙突の長さも悩んで決めたらしい。

 

またIさんは、

「炭ができあがる頃になると、

 いいにおいが辺り一面、遠くまで広がる。」と、

かつて炭焼きが、

この地域のあちこちで行われていた頃の話もしてくれた。


この日、普段無口なIさんが生き生きと話す様子が、

私にとってなにより印象的だった。

 

「やっぱりI先生はすごいな。」

 

Jirは5,6年生の間和合小学校に所属していたが、

慣れない学校生活は戸惑いの方が多くて

2年間、ほとんど通わなかった。

 

その中で、Iさんのことはよく話題にしていた。

Iさんは、Jirが知りたかった山のことや樹の種類やきのこのこと、

木工のことなど、なんでも知っていて

聞けばいつも丁寧に教えてくれたらしい。

 

うちでわからないことがあると

「今度学校に行ったら、I先生に聞いてみる。

 I先生なら知ってるよ。」

と話していたことを、私も覚えている。

 

子ども時代に、この人すごい、かなわないと

思わず尊敬しちゃう大人がいるのって

大事だなと思う。

 

Jirにとって、Iさんはそういう存在だ。

 

 


 5年生の2人は、担任の先生の指導の下、

切って用意してあった樹を玉切りにしたり、斧で薪割もした。

 

2日間、夜の窯の様子も、

先生や親といっしょに交代で見に行ったと後から聞いた。

 

 

 できた炭は、今年和合小学校では6年生がいないため

卒業式にかえた「進級を祝う会」を行い、

その時にみんなで五平餅を作る時に使う予定とのこと。

 


 

 和合小学校に通う子ども達のほぼ全家庭では、

日常的に、なんらかの形で薪や炭を使う暮らしをしている。


そのこと自体、今では珍しいことだろうけど、

自分で炭を作ろうと思う生徒、

実際それを授業に企画する先生、

それにGoサインを出す校長、

そして実際炭焼き窯を作ってしまう用務員さんのいる学校、

 

全国的にも珍しいだろうなあ (笑)

 

 

和合小学校HP

親子山村留学 募集中