原題:The Book Thief (2013)

邦題:やさしい本泥棒

 

 

 

オーストラリア出身の作家

Markus Zusak氏のベストセラー小説を映画化

映画は小説の大筋をたどっているけれど

詳細はかなりカットされている模様

Netflixのベスト100映画入りしてはいるものの

ヒトラー時代のドイツを扱っていると聞いて

めちゃ、暗そうだし、、、

ナレーションは「死神」だって言うし、、、、

 

 

 

このところ体調を崩していたので

明るく元気になれる映画を見たかったのですが

予告編をチラ見して、名優ジェフリー・ラッシュ氏の

姿があったので、(大ファンなのだ)

奮起して近所の図書館からBlu-ray拝借

(泥棒はしておりません、ちゃんと借りました)

 

 

 

 

 

 

監督:ブライアン・パーシヴァル氏

音楽:ジョン・ウィリアムズ氏(おおお、御大がここに)

配役:

リーゼル(共産党員の娘で養女に出される):

カナダ人女の子、ソフィー・ネリッセさん

ハンス(リーゼルの養父):ジェフリーラッシュ氏

ローザ(リーゼルの養母):エミリーワトソン女史

ルディ(隣に住む男の子):ニコ・リアシュくん

マックス(ユダヤ人の青年):ベン・シュネツアー氏

場所は、ドイツのミュンヘン近郊の設定らしい

そこらじゅうに、ナチスの旗がはためいてます

もうそれを見て、これから何が起こるのか想像するだけで

心臓がどきどき痛い(気の小さいわたし)

 

 

 

ネタバレ晴れバレ

 

 

 

ヒトラーが台頭するドイツ

赤狩りが始まって共産党員の両親は逃げ延びるべく

子供達をひそかに養子に出します

養父母に引き渡されるその旅の途中で

リーゼルの弟は亡くなってしまい

そのささやかな葬儀が終わって

葬儀屋がうっかり落としていった本

(葬儀の指南書)を

文盲のリーゼルは気になって思わず盗んでしまう

これがリーゼルの本泥棒の初めての一冊でした

 

 

 

養父母に引き取られ

初めて出席した学校でクラスメートに文盲をからかわれ

隠し持っていた例の本も養父にみつかってしまう

リーゼルはなんとかごまかそうとするのですが

葬儀の指南書なんぞ、子どもの持ち物なわきゃないし

リーゼルが字が読めないと理解した養父は

本のことを責めるでもなく

一から読み方を教えるのでした

この葬儀の指南書、一冊まるまるふたりで読み終えて

「これで私が死んだときはきちんと

手順をまちがえずに、葬儀をやってくれるね」と

ユーモアたっぷりに諭すあたり

養父の優しさが滲み出る

ジェフリー氏ならではのハマリ役

 

 

 

街の広場で行われたナチスの焚書で

クラスメートから

「疑われたくなければこの本を投げ入れろ」

と言われ渡された本をしぶしぶ火に投げ入れるリーゼル

日が暮れた広場

誰もいなくなったことを確認し

まだ残り火のけぶる焦げた本の山から

リーゼルは密かに2度目の本泥棒をやります

そして、それを遠く

車の中から見ていた婦人がいました

 

 

 

 

 

 

養母が請け負う洗濯物の配達を

リーゼルは手伝います

配達先は、町長さんの立派な邸宅

帰ろうとした矢先、夫人に声をかけられます

本が好きなの?

思わず固まるリーゼル

夫人は、夫に知られないようにそっと

戦争で亡くした息子が

かつて集めた膨大な蔵書の並ぶ

図書室へとリーゼルを案内します

夫人は来たい時にいつでもおいでと言ってくれ

リーゼルは胸いっぱいになります

 

 

 

ナチス統制下の重苦しい時代にあって

下町のささやかなしあわせを見出したかのころ

ひとりのユダヤ人青年が

リーゼルのうちへ逃げ込んできます

かつて、養父ハンスが戦争前線にあったとき

助けてもらった恩人の息子さんでした

ユダヤ人狩りがはじまり

息子のマックスは母親に説得されて

ひとりきりでかろうじて逃げ延びていました

ハンスは迷うことなくすぐにマックスを匿います

 

 

 

マックス演じる俳優ベンさんは

両親ともに俳優のサラブレッド

映画「スノーデン」や「ウォークラフト」にも出演

 

 

 

こうして、アンネの日記さながらの

心休まらないびくびくの生活が

ハンスの家で始まります

リーゼルは、マックスが自分と同じように

母親を失いひとりぼっちの身の上を知り

マックスと心を通わせるようになります

 

 

 

マックスは弱り切っていましたが

いざ、憲兵に踏み込まれて見つかるとまずいので

ベッドを作ることもできないでいて

地下の暗がりに息を潜めて日々を送ります

リーゼルはそんなマックスに乞われるまま

少しでも外の空気が伝わるように

天気の移り変わりや外で起きている出来事を

懸命に話すのでした

そしてマックスが本が好きなことを知ると

あることを思いつきます

 

 

 

リーゼルはある日

図書室で本を読んでいるところを

とうとう町長に見つかって

邸宅への出入りを禁止されていました

そこで仕方なく

3度目の本泥棒を思いつくのです

町長夫人の図書室に窓から忍び込んで

「借りる」つもりで本を盗みだすリーゼル

そして、その本を寝たきりとなったマックスに

読み聞かせてあげるのでした

 

 

 

 

 

 

本泥棒の様子をリーゼルの後をつけていた

クラスメートでリーゼルに思いを寄せていた

ルディに見られてしまいます

でもルディもリーゼルのことを心配しつつ

見守ってくれるのでした

 

 

 

しかし、ナチスのユダヤ人狩りの手が

ハンスの家にも伸びてきて

1度目はかろうじて免れたものの

ハンス家の人々を危険にさらすことに

耐えかねたマックスはやがて

自ら姿を消してしまいます

そして、ハンスも徴集で戦争に取られてしまいます

 

 

 

リーゼルに表向き厳しくあたるものの

心根の優しい養母のローザの悲しみにくれる姿や

防空壕で怯える町の人々の様子を見たリーゼルは

かつて養父がアコーディオンをかき鳴らして

みんなを勇気付けていた姿を思って

自分にできること、創作ものがたりを

みんなに語り聞かせて勇気づけていきます

 

 

 

爆撃音が止み

ようやく防空壕の外にでることができたとき

戦争で負傷したハンスが家に戻ってきます

家族が一つ屋根の下に再び揃い

つかの間の喜びに沸くリーゼルとローザ

その夜

みんなが寝静まった後も

リーゼルは、その壁を辞書代わりに使っていた

地下室で日記を書いていました

そこへふたたび空爆がおこなわれ

町は廃墟となるのでした

 

 

映画は「死神(Death)」のナレーションで

おはなしが淡々とすすんでいきます

その死神が、町のひとびとを迎えにいき

生を終える瞬間に立ち会った様子も

こんな調子で語るのでした

 

 

 

ローザは相変わらず口汚くわたしをののしり

ハンスは一言、リーゼルの名を呼んだ

 

 

 

死神がリーゼルを迎えに行ったのは

リーゼルが90歳になったときで

 

 

 

地下室にいたリーゼルは奇跡的に助かり

2年後、戦争は終結し

町はアメリカ軍管理下に

リーゼルは戦争から戻ってきて仕事を再開した

ルディのお父さんの職場で働きます

そこにリーゼルを訪ねる

ひとりの青年の姿がありました

どこをどう生き延びたのか

マックスでした

 

 

 

小説ではローザとリーゼルの

かたくなな出会いから打ち解けるまで

きめ細やかに描かれているようですが

映画では、1シーンをのぞき

思いきりカットされていて

そこがちょっと気になっていて残念かなあ

エミリー・ワトソン女史の演技もうちょっと

見たかったです

 

 

 

戦争背景の映画ではありますが

視覚的にトラウマになってうなされそうな

酷いシーン(リンチとか血みどろな死体とか)は

ほとんどなかったので(ま、PG-13だし)

なんとか最後まで見ることができました

そういうシーンがないと

物足りないという人もいるかもしれませんが、、、

人々の魂のふれあいを描いた心温まる作品

 

 

 

ナレーション最後に

死神は告白するかのように語ります

実は自分が人間にとりつくのではなくて

人間が自分にとりついているんだって

これはいまひとつ

自分のなかで咀嚼できていないのですが

そういった意味でも

原作本も読んでみよう!

 

 

 

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トレーラー

https://www.youtube.com/watch?v=6dRuGwS1gWU&frags=pl%2Cwn