10月31日――10月最後の日――
ラジオは秋の終わり、冬のはじめを言っていた。
この日、また俺は旅に出た。
採用試験の為にだが、旅は旅である。
そして、それはいつもの「ひばり」での旅だ。

この旅で思うのは常に
列車の振動と
座席の貧弱さと
ドロボウの危険と
日本食堂の商魂のたくましさと
トイレの汚さと、、、、、

今日はやたらに日本食堂の車内販売が多い。
結構売れているようだ。俺もホットコーヒーを頼んだ(200円)。

長時間列車に揺られながら、体をサポートできない座席に座り、しかも、ほとんど姿勢を変えられず、じっとしていなくてはならないのだから、その疲れは相当のものである。快適さとは縁遠い乗り物である。

それにしても、日本食堂のコーヒーを入れる紙コップの劣悪さは何だ!
先ず、驚きは一枚の紙を折り返してできている「取っ手」だ。取っ手と思ったそれは実は取っ手では無い。コーヒーを満たしたそのカップを支える事などできない。
それは、カラになったカップを捨てる時だけ役に立つというしろものだ。
(結局は茶碗の持ち方しかできなかった)まさに、虚のデザイン。

これを受け取った時にオネーサンから「揺れますから気をつけて」と言われたが、そんな事この列車に乗った瞬間から、アホでも分るさと思った。
案の定、目の前のフォールディング式の小さなテーブルにカップを載せた瞬間、液面は波打ち、四方にコーヒーが飛び散りそうな勢いだ!一緒にミルクと砂糖をくれたが、こんなもん入れてるヒマなどありゃしない。3秒とテーブルに置いとけない状況だから、2度3度慌てて飲んで、中身を減らす。しかし、「波」の勢いが凄い。結局コーヒーの味など分らぬまますぐに全部飲み干した。その間、3分ほど。
いったい何のためにコーヒーを頼んだのか!?
このカップ列車内での使用を考えて作られたとは思えない。こんなものを平気でよこす日本食堂の良心を疑う。列車で使うにはそれなりの、最低でも列車の振動に対する措置が必要だ。「たった200円のコーヒー」そう考えているのかもしれない。

今日は珍しく、列車のトイレで○○をした。
右に左に揺られながら、下の丸い黒いゴムで覆われた穴を目指して○○をした。
「爆撃用意。」
「投下!」
「ドドーーーン。」
てな具合い。

何とかならんか、あれ。