年に一度の宇都宮詣で。その2 | 猫なでにき

年に一度の宇都宮詣で。その2

ここで、ジャパンカップサイクルロードレースとはどんなレースなのか、簡単にご紹介しよう。

開催地は、JR宇都宮駅から車で約30分の、宇都宮森林公園。その周辺周回コースを11周回、151.3kmを2時間強かけて走る。平均時速にして70キロほどなのだから、どれほどスピーディなレースかおわかりだろう。

森林公園の周回コースはもちろん平坦ではない。山あり谷あり、起伏豊かなコースだ。
しかも、スタート地点から古賀志林道の頂上に向かっての約2キロの登りは、かなりハードな坂だ。特に頂上手前1キロは平均勾配13%、一番きついところで16%にもなる。

古賀志林道の観客たち
その古賀志林道の登りの道は、選手達のスピードも若干落ちるので(それでも速いんだけど)、観客にとっては絶好の観戦スポット。

平均時速から計算すれば、一周は約12分ほど。周回レースの醍醐味は、観戦場所を一度確保すれば、周回数分だけ、選手の勇姿を観ることができるということ。

とはいえ、一点集中でいられないのが人の常。選手の応援しつつ、頂上まで行ったり来たりするのもまた楽しいのだ。

せめて2周!
ロード観戦の楽しみのひとつに、選手への応援やメッセージを道路にチョークで書くというのがある。人が書いたそれを見るのもまた、楽しみ。

いつ、どこのレースの為に書かれたのか「せめて2周」。“攻めて”なのかな? “せめてこれくらいは”なのかな?

SUSI Basso
こちらは「Susi Basso」。
寿司の絵まで描いてあって、かなり気合いが入っている(笑)


寿司が好きなイケメンバッソ
Bassoとは、こちらのイケメン、イバン・バッソ選手のこと。

前日のチーム・プレゼンで「好きな日本食は?」ときかれて「寿司」と答えていたので、それをうけての応援メッセージだろう。

ちなみにこの日の為の彼のスペシャルバイクには、名前が漢字で

伊蛮伐蘇

と書かれていた……。
レース後チャリティ・オークションにかけられるそうだ。

タック王子へのエール
そしてこちらのメッセージは、「TAKK!王子」。

これは誰宛かというと……

別府匠選手(タック王子)
国内のイケメン選手、タック王子(笑)こと、愛三レーシングの別府匠選手。
先日、NHKの番組で「タック王子」として出演してから人気急上昇らしい。

この写真はレース後に撮ったので、かなりお疲れ顔。でも日本を代表するイケメンとしては、きっちりカメラ目線をくれる。お疲れのところすみませんでした。

人気者の栗村元監督へのエール
そしてこちらは、自転車ファンのアイドル、元ミヤタ・レーシング・チームの監督、栗村修さんへのエール。選手でもないのになぜかロード・ペインティングが(笑)

「一応」…
「一応」って………(笑)

人気者だなあ、栗村(元)監督。

「一応」の栗村“元”監督
その栗村さんはこちら。今回はチームの監督としてではなく、一般客に混じって登っているので、観客と遊んでくれいるようだ。

そうでなくてもいつも遊んではくれるのだけど(笑)

彼は、JSPORTSのロードレース実況の解説としてもお馴染み。というか、主にそっち方面の面白解説ぶりで、人気を博している。


のぼり、がんばる
レースの写真は残念ながらあまり撮れず。かろうじてこの一枚。スピード感を少しでも感じていただければよいのだが。(クリックで少しだけ拡大)

大抵は、選手が登ってくるとがんばって応援してしまうので、殆どカメラなど構えていられない。ひたすら「アレ!アレ!」
エールを送って選手を気持ちで押し上げる。それが観客に唯一できる手助け。



レース中盤までは、殆どレースから千切れる(集団から離れて遅れることをいう)選手はいなかったのだが、残り周回が少なくなってくると、そろそろそんな動きも出てくる。

リタイアして残念…エルキ!
ブイグ・テレコムのエルキ・プットセップ選手が途中かなり千切れてしまった。それでも懸命に山を登っていった彼に、観客は惜しみなくエール!まるでトップ選手への声援のように、歓声があがっていた。

しかし、とうとう残り周回2周ほどで、リタイア。一旦途中まで登った坂を、戻ってきてしまった。

残念そうなエルキ。

お茶目なエルキ
「残念だったね」と声をかけると、サングラスを逆さまにしてパフォーマンス。
まだ元気みたいだ(^^)

内心やっぱり完走したかったろうけど……観客のお疲れ様の声に、ニッコリ笑顔。



結局レースは、2005年のジャパンカップでも優勝した、ランプレのダミアゴ・クネゴ選手が競り勝った。

ロード界では、エース選手はしばしば「ワンデイレースタイプ」「ステージレースタイプ」に大別される。クネゴは、新人の頃からステージレースの最高峰であるグラン・ツールでの成績を期待されつつ、なかなか成果を出せずにいる(成果とは優勝のことであり、2位以下は期待はずれという厳しいものだが)。

しかし彼はここのところ、ワンデイレースでの優勝が続いている。そしてこのジャパンカップも、アジア最高峰のワンデイレース。名実ともに、ワンデイレーサーとしての実績を重ねてきている彼は、しかしグラン・ツールへの夢も捨て切れていない。この勝利、今後の彼を占う上で、なかなか微妙なところとなった。

ポディウムの3人

表彰台の3人、優勝したランプレのエース、ダミアノ・クネゴ選手、2位はクイックステップのエース、ジョバンニ・ヴィスコンティ選手、そして3位のリクイガスのエース、イバン・バッソ選手。こちらはオフィシャルサイトからお借りした写真だが、中央のクネゴが一番目立ってないのはどういうことだ(笑)
それに対して、バッソは3位なのにピカピカに目立っている。オーラの違いだろうか。

そのバッソ、実は今回が2年ぶりの復帰レースだった。2006年夏、血液ドーピング疑惑に巻き込まれ、2年間の出場停止処分が下ったのだ。

スポーツ界で一番ドーピングに厳しいと言われる自転車レース。血液ドーピングに関与したとして告発された医師の保管していた血液サンプルに、バッソのものがあったということで、疑惑の渦中の人となった。もっとも、これ以上に何か証拠があったわけではなく、バッソ本人は検査の為に採血したものだと主張したらしい。

しかし、今、自転車の世界では、「疑わしきは積極的に罰する」流れになっており、選手に対して厳しい。潔白という証拠が出せないかぎり、疑いがでれば処分が下る。(彼はレース時の検査では一度も問題になったことはない)

選手にとって、2年間レースに出られないというのは過酷な処分だ。一番成績がだせる時期をふいにしてしまう可能性もあるからだ。
その意味でバッソは、今回の復帰レースで、まだエースとしての実力があるということをアピールせねばならず、今期素晴らしい成績を残しているクネゴ、ヴィスコンティに並んでのポディウムは、充分にその復活を印象づけるものになった。ドーピングに関係なくこれだけ走れるという、自らの潔白を主張する為にも、ポディウムに乗ることは彼の最大の目標だったことだろう。

こんな風に、1位を取ったものが勝者なのか、2位、3位がそれにくらべて悪いのかというと、なかなか難しいところだ。その選手のタイプや状況によって、様々に解釈できる面白い結果だったといえる。



その3、番外編へ続く!





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