熟したメロンの香気 | 猫なでにき

熟したメロンの香気

1年ほど前から、MORIMOTOという会社のCMに、Us3の「Cantaloupe」が使われている。JAZZ好きならご存じの通り、この曲はHerbie Hancockが64年に発表した「Cantaloupe Island」をサンプリングしたものだ。

Us3のバージョンですらもう15年前になるが、Herbieのこのオリジナル曲は40年以上昔になるのだから、驚きだ。すばらしい曲は消して色あせない。逆に、ますます熟して香気を放つ。「Cantaloupe Island」の“Cantaloupe”とは、果肉の赤いメロンの一種。



この曲の入ったアルバム『Empyrean Isles』の発表当初はJAZZも過渡期であり、フュージョンという呼び名で新しいスタイルが取り入れられ、Herbieをはじめ若い世代がその中心になりつつあるころだった。
そのアルバムは、当時のミュージシャンに少なからず衝撃を与えたのだ。

その後もHerbie Hancockは次々に新しいスタイルを取り入れ、1983年にはクラブミュージックを大胆に融合させた「Rock it」を発表する。いや、「クラブミュージック」はこの曲以降、確立された一ジャンルとなったのだった。



この時代はMTVの台頭で、音楽のビジュアル面も注目されていた頃で、その意味でもかなり実験的作品だったといえる。

私がリアルタイムに「ハービー・ハンコック」の名を耳にしたのは、やはりこの時期で、ゆえに彼がそれほど大御所とは思ってもみなかった。(もちろん、過去の名曲は何度となく耳にしていたのだが)
つまり、彼の音楽は常に新しかったのだ。

以降、決して立ち止まらないHerbieは、今年までにグラミーを11度受賞している、大アーティストだ。いつ見ても新しい輝きを放つ彼。もう68歳になるはずなのに、とてもそうは思えない。

熟したメロンは、まだ瑞々しくその香気を私達に届けてくれる。

ハービー・ハンコック





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