こんばんは。
消費税は、事業者が販売する商品やサービスの価格に上乗せされて、次々と転嫁され、最終的に商品を消費し又はサービスの提供を受ける消費者が負担することとなる税金です。
生産、流通の各段階で二重、三重に税が課されることのないよう、売上に係る消費税額から仕入れ等に係る消費税額を控除し、税が累積しない前段階税額控除方式の仕組みとなっています。
(各事業者が個別に納付した消費税の合計は、消費者が負担した消費税と一致します)
ー国税庁ホームページ 『消費税のしくみ』 より引用ー
上記の小売業者は、消費者から預かった売上に係る消費税8,000円と卸売業者に支払った仕入に係る消費税
5,600円との差額2,400円を国に納付しますが、この仕入に係る消費税の控除(仕入税額控除)を行うには消費税法に定められた要件を満たさなければなりません。
軽減税率制度の実施に伴い、仕入税額控除の要件である保存すべき帳簿と請求書等の記載事項に変更があります。
1.軽減税率実施前
法定事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件とされていました(請求書等保存方式、消費税法30条)
(1)帳簿の記載事項
①仕入先の氏名又は名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額
(2)請求書等の記載事項
①書類作成者の氏名又は名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額
⑤書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
ただし、取引額が3万円未満の場合や、自動販売機から購入するなど、請求書等の交付を受けることが困難な場合、一定の事項が記載された帳簿の保存のみで仕入税額控除の要件を満たします(消費税法施行令49条)。
2.軽減税率実施後(~令和5年9月30日)
軽減税率制度の実施に伴い、消費税等の税率が軽減税率(8%)と標準税率(10%)の複数税率になりますので、事業者は、消費税等の申告を行うために、取引等を税率ごとに区分して記帳するなどの経理(区分経理)を行う必要があります。
令和元年10月1日から令和5年9月30日までの間は、制度実施前における請求書等保存形式を基本的に維持しつつ、区分経理に対応した帳簿及び請求書等の保存が要件とされます(区分記載請求書等保存形式、平成28年改正法附則34条2項)。
区分記載請求書等保存形式においては、請求書等保存形式で必要とされる記載事項に加え、次の事項を記載する必要があります。
(1)帳簿の記載事項
上記1(1)③に加え「軽減税率の対象品目である旨」
ー国税庁 『消費税軽減税率制度の手引き』 P29 より引用ー
(2)請求書等の記載事項
①上記1(2)③に加え「軽減税率の対象品目である旨」
②上記1(2)④に加え「税率ごとに合計した対価の額」
ー国税庁 『消費税軽減税率制度の手引き』 P30 より引用ー
なお、この2つの記載事項がないときは、これらの項目に限って、請求書等の交付を受けた事業者自らがその取引事実に基づき追記することが認められています。
また、3万円未満の少額な取引等が、必要な事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の要件を満たすことは、軽減税率実施前(請求書等保存形式)と同様です。
4.軽減税率対策補助金(軽減税率対策補助金事務局ホームページ)
中小企業庁では、軽減税率制度(複数税率)への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等の方に、複数税率対応のレジの導入、受発注システムの改修、請求書等の作成に係るシステムの改修等を行う際に、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」による事業者支援を行っています。
(1)A型(複数税率対応レジの導入等支援)
軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に販売するために、複数税率対応レジ又は区分記載請求書等保存方式に対応した請求書等を発行する券売機を導入又は改修する必要のある事業者が使える補助金です。
(2)B型(受発注システムの改修等支援)
軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に取扱うために、電子的受発注システム(EDI/EOS等)の改修・入替を行う必要がある事業者が使える補助金です。
(3)C型(請求書管理システムの改修等支援)
軽減税率に対応するために必要となる区分記載請求書等保存方式に対応した請求書管理システムの改修・導入を行う必要がある事業者が使える補助金です。
それぞれ補助額の上限がありますが、補助率は原則3/4のため、かなり安価で導入できることになります。
なお、補助対象期間について、これまで令和元年9月30日までに「軽減税率対応レジの設置・支払いが完了したもの」が本補助金の補助対象とされてきましたが、9月30日までに「レジの導入・改修に関する契約等の手続きが完了している」に要件が改められました。
これにより、9月30日以降に設置・支払いが行われるものも本補助金の対象となります(経済産業省ホームページ)。
帳簿や請求書等の記載不備により仕入税額控除が否認されることのないよう、レジ・請求書管理・会計ソフト等の準備をしっかり進めましょう。


