こんばんは。

本年も宜しくお願い致します。

昨年末に事務所を移転してバタバタしていましたが、ようやく落ち着いて来ました。

 

今日は、生命保険を活用した相続対策について書きたいと思います。

 

次のような相談を受けることがあります。

Q.私の財産には自宅等の不動産が多く現預金があまりありません。私に相続が起きたときの遺産分割、相続税

  の納付が心配です。

A.生命保険を活用した遺産分割、納税資金対策をお勧めします。

 

相続財産のほとんどが株式、不動産などの分割しづらい財産である場合には、現預金を捻出する必要が出てきます。

 

(1)遺産分割対策

たとえば、不動産を一人の相続人(例:長男)に相続させる代わりに、残りの相続人(例:次男)には生命保険を利用して現預金が渡るようにします。

これには、①次男が直接生命保険金を受け取る方法と②長男から次男へ代償分割をする方法があります。

 

①の生命保険の契約例

契約者(=保険料負担者):被相続人

被保険者:被相続人

保険金受取人:次男

→被相続人の死亡により次男が生命保険金を受け取る。

 

※生命保険金の非課税

契約者及び被保険者が被相続人である生命保険契約により相続人が受け取った死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」が非課税となるので、現預金を直接相続人に遺す場合と比べて相続税額が少なくなります。

(この非課税規定は「相続人」が受け取った場合に限定されているので、相続を放棄した者や相続人ではない孫などが受け取っても非課税の適用はありません)

 

②代償分割をする場合の生命保険の契約例

不動産も生命保険金も全て長男が取得します。その受け取った生命保険金の中から次男に代償分割を行います。

契約者(=保険料負担者):被相続人

被保険者:被相続人

保険金受取人:長男

→被相続人の死亡により長男が受け取った生命保険金から次男に代償分割する。

 

※代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人又は数人に相続財産を現物で取得させ、

  その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行わ

  れる方法です(国税庁 タックスアンサーNo.4173)。

  代償分割は遺産分割の一つの方法であるため、遺産分割協議書にその旨を明記しておく必要があります。

 

(2)相続税の納税資金対策

相続税は原則として、法定納期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)までに金銭で一括納付することになっていますが、相続財産のほとんどが不動産などで十分な現預金がない場合は、死亡保険金を納税資金として活用できます。

この場合、保険料負担者が誰かによって課される税金の種類が異なります。

 

①保険料負担者が被相続人の場合

契約者(=保険料負担者):被相続人

被保険者:被相続人

保険金受取人:相続人

→相続人に相続税が課される(生命保険金の非課税規定の適用あり)

 

②保険料負担者が相続人の場合

契約者(=保険料負担者):相続人

被保険者:被相続人

保険金受取人:相続人

→相続人に所得税(一時所得)、住民税が課される

 

①と②のどちらが有利になるかは、相続財産の合計額、相続人の所得金額等によって異なります。

 

現行、相続税の最高税率は55%、所得税・住民税を合算した最高税率も同じ55%(45%+10%)ですが、一時所得は所得が1/2されるので、被相続人に多額の相続税が発生すると見込まれる場合には②の方が有利といえます。

 

(3)被相続人(贈与者)から相続人(受贈者)へ保険料相当額を贈与する場合

上記(2)②で、相続人に保険料負担能力がない場合は被相続人から相続人に対して保険料相当額の贈与を行います(その分、被相続人の相続財産も減少します)。

この場合、「贈与が成立している」ことが重要となります。

 

具体的には、

①贈与契約は口頭でも成立しますが、贈与の都度、贈与契約書を作成するのが望ましい

②契約者である相続人は保険契約の内容を知っておく必要がある

③被相続人の口座から支払うのではなく、相続人の口座へ資金移動し、そこから保険料を支払う

④贈与税の基礎控除を超える場合には、贈与税の申告・納税をする

⑤相続人が保険料を支払っているので、所得税の生命保険料控除は相続人が適用する

などです。

 

自分で保険契約を締結していたら当然行っているものですし、贈与の証拠を残すことも必要です。

 

これらの事実がなく、贈与は成立していなかったとされた事案もあります(国税不服審判所平成19年6月12日裁決)のでご注意ください。

(この場合には上記(2)①の相続税課税となります)