こんにちは。

寒い日が続いていますし、インフルエンザも流行しているので体調には気を付けましょうね。

 

今回のテーマは「扶養控除の所属の変更」です。

 

前提として、夫婦ともにサラリーマンで扶養親族(長男)は16歳とします(16歳未満であれば所得税の扶養にはなりません。住民税は考慮外とします。)

 

年末調整の際に扶養控除等申告書を会社に提出しますが、そこに扶養親族を書きますよね。

年末調整では何も考えずに夫の扶養に入れてしまったが、よくよく考えると妻の扶養に入れた方が節税になったので、確定申告でその変更が認められるのかというお話です。

共働き世帯の増加に伴い、もしかしたら該当される方がいらっしゃるかもしれません。

 

所得税は超過累進税率を適用しているため、収入が高くなればそれだけ支払うべき税額が多くなります。

したがって夫婦のうち収入が高い方の扶養に入れる、これが原則です。

 

今回問題としたいのは、夫と妻の収入が同じぐらいで夫に多額の所得控除(例えば医療費控除)がある場合です。

 

国税庁のHPに次のような質疑応答があります。

 

【問】 夫は長男を扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出し年末調整を行っており、妻は扶

   養親族の記載をせずに「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出し年末調整を行っています。
    今年は夫が多額の医療費を支払ったため、夫が長男を扶養親族から除外する「確定申告書」を提出し、

   妻が長男を扶養親族に含める「確定申告書」を提出したいのですが、このような扶養控除の所属の変更は

   認められますか。

【答】 扶養親族を増加させようとする者(妻)及び減少させようとする者(夫)全員が、その所属の変更を記載し

   た「確定申告書」を提出すれば、扶養親族の所属の変更は認められます。

 

ポイントは、この質問の意図(どうして扶養控除の所属の変更という問題が出てくるのか)です。

 

(1)夫の年収が500万円の場合、扶養親族1人で年末調整をすると所得税は172,500円になります(復興特別所

   得税は考慮しません、以下同じ)。

  (給与所得3,460,000円-扶養控除380,000円-基礎控除380,000円=2,700,000円  2,700,000円×10%

   97,500円=172,500円)

   また、妻も同じ年収500万円だとすると、所得税は210,500円になります。

  (給与所得3,460,000円-基礎控除380,000円=3,080,000円  3,080,000円×10%-97,500円=210,500円)

   ※計算式は重要ではありません。

 

(2)仮に平成30年中に医療費を100万円支払い、夫の確定申告で医療費控除を適用すると所得税は90,000円に

   なります。

  (給与所得3,460,000円-扶養控除380,000円-基礎控除380,000円-医療費控除900,000円=1,800,000円

   1,800,000円×5%=90,000円  ※医療費控除の金額 1,000,000円-100,000円=900,000円)

   妻の所得税は(1)と同じ210,500円ですので、2人の所得税の合計は300,500円ということになります。

 

(3)(2)と同じ医療費控除100万円がある前提で、長男の扶養を妻に変えた場合はどうなるでしょうか。

   ①夫の所得税 120,500円

    (給与所得3,460,000円-基礎控除380,000円-医療費控除900,000円=2,180,000円  2,180,000円×10%

     -97,500円=120,500円)

  ②妻の所得税 172,500円

    (給与所得3,460,000円-扶養控除380,000円-基礎控除380,000円=2,700,000円  2,700,000円×10%

     -97,500円=172,500円)

  2人の所得税の合計は293,000円となり、(2)と比べて7,500円低くなっています。

 

(重要とは思っていませんが)このような結果になる理由を少し補足しておくと、所得税の税率が関係しています。

最初に述べたとおり、税率の高い方の扶養に入れるというのが原則です。

(1)~(3)の計算式の税率にアンダーラインを引いていますが、今回夫が多額の医療費控除を受けたために、夫の扶養に入れてしまうと税率が5%となってしまいました((2)の計算式より)。

したがって税率が10%である妻の扶養に入れた方が有利になったということです。

 

医療費控除90万円という極端な事例ですが、扶養控除の所属の変更をした方が節税になる場合があるということをご紹介しました。

ちなみに(医療費控除がなく)単純に年末調整時に扶養を誤った場合でも、夫婦二人で確定申告をすれば変更ができます。

 

上記の質疑応答には続きがあるのですが、少し難しいので説明は割愛します。

下記のリンクから参照できますが、簡単に言うと一度確定申告をしてしまうとその後の変更は認められないということです。

(チャンスは1回のみということです)

 

今回の事例では7,500円という税額でしたが、年収が高くなればそれだけ税額への影響は大きくなります。

共働き世帯で年収が同じぐらいの場合には、どちらの扶養に入れた方が有利かは慎重に検討しなければいけません。

 

参照:納税者が2人以上いる場合の扶養控除の所属の変更