こんにちは。
ここまで不動産を譲渡した場合の特例規定を見ていますが、今回は3つ目の特例をご紹介します。
マイホーム特例のブログで、「不動産の譲渡に係る税額は、その不動産の売却価額から購入価額と売却のために支出した費用を引き、この差引額がプラス(売却益)であれば、この売却益に一定の税率を乗じて計算をします。」という説明をしました。
「購入価額(買った時の金額)」のことを、税法では「取得費」と呼んでいるのですが、もう少し詳しく言うと以下のようになります。
①売却したものが土地の場合には、購入価額=取得費
②建物など使用によりその価値が減少するものは、購入価額からその減少分を控除した金額が取得費
今回の特例は、「相続した財産を相続人が譲渡したら、購入価額を上乗せ(=取得費を加算)してもらえる」というものです。
取得費を加算してもらえるということは、売却価額から引ける金額が増えますので、その結果、売却益が減り支払う税額も少なくなるということで納税者にとっては優遇規定になります。(租税特別措置法第39条、以下「本特例」といいます)
本特例の趣旨(本特例がある理由)ですが、
①過去に相続が発生し相続税を納付した。
②①で相続した財産を譲渡すると所得税の負担が生じる。
これだと、一つの財産に相続時と譲渡時の2回税額が発生してしまい、税負担が過大になってしまいます。
そこで、①で相続税を納付した場合には、②の譲渡時点では、その納付した相続税額のうち一定額を取得費に加算することにしています。
ここでの注意点は、「相続税を納付している」ということです。
相続税を納付していなければ本特例の適用はありません。
本特例の主な適用要件は以下のとおりです。
(1)相続等により土地、建物、株式等を取得し、その取得した人が譲渡すること
不動産に限らず株式等を相続しても適用があります。
(2)その取得した人に相続税が課税されていること
(3)その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後『3年』を経過する日までに譲渡
していること
少し分かりにくい表現ですが、「相続税の申告期限」というのは、通常「被相続人の死亡の日の翌日から10ヶ
月」ですので、相続発生から「3年10ヶ月」以内に譲渡というイメージです。
本特例は、相続財産を譲渡した場合の優遇規定という点で前回の空家特例に類似していますので、両規定の適用要件を満たしたとしてもどちらか一方しか適用できません。ご注意下さい。
規定の趣旨、適用できるか否かが重要だと考えていますので、具体的な計算(加算額)についてはここでは触れません。
ご興味のある方は、下記国税庁HPをご参照下さい。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm