井上堯之バンドの時代~井上堯之バンド㉑ | edihの昭和音楽よもやま話

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1975年10月17日本テレビ系列でショーケン主演の「前略おふくろ様」がはじまる。ショーケンは日テレの新番組ドラマの企画に脚本家倉本聰を一押し、74年NHK「勝海舟」に起用したショーケンの演技力に一目を置いていた倉本も、アルバムの中で特にお気に入りだった「前略おふくろ」の曲に自身の母親のイメージを重ね合わせ、アウトロー的なショーケンを生かすため、あえて頭の上がらない配役を増やし脚本は完成する。(ショーケンは秀次役に”小林旭“を希望したのだが拒否され"梅宮辰夫"となった話もある)

勿論堯之バンドの音楽担当となるが、今までの大野中心の作品と趣を変え、堯之と速水の2人が曲作りを担当、堯之のストリングス・アレンジが加わりよりホームドラマ的な雰囲気の仕上がりとなっている。11月にはサントラ・シングル、76年1月にはアルバムが発売され、堯之バンドのアットホームなサウンドがレコードでも楽しめる。

また堯之は先に倉本脚本の「あなただけ今晩は」(75年7月フジTV系OA開始)に単独で音楽を担当、タイトル音源が奇跡的に残されているのも貴重なことである。

板前役として長い髪を切り、アドリブ禁止一字一句の間違いも許されない厳しい台本は後に最高の本だっだとショーケンは絶賛している。社会の枠からはみ出す若者の代表とされていたショーケンだが、”前略”で役者としての幅を広げた作品となり、小心で純朴な ”サブ”に憧れセリフやファッションを真似るファンも増え、ドラマは26回放送後、76年には続編のPart2が制作されるまでの人気番組であったことは言うまでのない。

 

動画はセリフ入り、ノン・ストリングスの「メイン・テーマM3」より