私は幼いころ、親や周囲の人に「弟の方がかわいい。」と言われて、容姿にコンプレックスを持っていました。また、大人になった今も、持病の治療のために服用した経口ステロイドの副作用によって30キロ太ったことにコンプレックスを感じています。だから、この本の題名には惹きつけられました。

 

この本では、「見た目問題」をテーマにしています。「見た目問題」とは、見た目そのものだけでなく、見た目を理由とする差別や偏見によって生じる問題」のことを言うそうです。

 

第1部では、先天的や後天的な理由で「見た目問題」に直面した当事者の声を紹介しています。どんな差別やいじめを受けたか、症状を隠すことへの葛藤などが書かれています。症状の経緯をいつ、どこまで話すかは難しい問題です。しかし、カミングアウトしてもよくしてくれる相手は親友や結婚相手になったりもしています。「見た目問題」に悩んでいる人は、将来同じ問題を抱えている人を助けたい気持ちで一所懸命に生きていることに感銘を受けました。

 

第二部では、当事者を取り巻く人たちの視点で描かれています。私は、特に口唇口蓋裂という病気の赤ちゃんが、手術で直る症状だと知らない親に身体合併症の手術をしてもらえずに亡くなったパートを悲しく思いました。直せる症状であることを子供が亡くなった後から知ったとしたら、親の悲しみは計り知れません。また、この本に出合っていれば、「見た目問題」を乗り越えて就職したり、結婚したりして幸せになっている人を知る人ができたかもしれません。多くの情報があふれている世界だからこそ、正しい情報を知る必要性があることを実感しました。

 

私自身、太っているから結婚できないのではないかなどと思っていたけれど、この本の当事者たちと比べたら、小さな問題だと感じました。自分の状況を嘆くだけではなく、運動や食事制限などの努力をしよう。また、容姿に関係なくカミングアウトできるように内面を磨きたいと思わせられる本でした。