あなたの前から大切な人が消えたとしよう。

それは人でもペットでもなんでも構いませんが仮に、

消えるとしよう。

死ぬ、とかではなくて存在していた事実ごと消える。


とするならば当人がもたらしていた影響(それは音楽でもなんでもいいわけですが)なんてものは消えてしまうのか、それとも日常に絡まって取れないのか、どちらだろうか。


僕の意見としては、きっと取れないに決まっていて、それはことあるごとに見る風景、漂う匂いに乗っかって唐突に現れると思う。

あの曲がり角で見た花とか標識の近くで食べたクレープとか吹き抜けの西陽とかに急に現れるだろう。

好きな曲の歌詞に勝手に重ねたその風景はたまに瞼を占領してしまうのだろう。


全ては思い出でもなくただの過去に成り下がり、いつしか本当に時間が忘れさせ、忘れた頃にまた思い出す。

それは繰り返される諸行無常である。

夢も希望もへったくれもない『今』の刹那刹那に溺れ、沼にハマり、抜け出し、また愚かに術中にハマる。

それも繰り返される諸行無常である。


仮に終わってしまえば、ただの過去になる

それは本当に諸行無常なんだろうけどここまでに大切にした今が思い出にすらならなくなるなんて、すすめられて聴き始めたバンドも貴女のために勉強し始めたファッションも全部その五文字で過去になるのか

なんというかものすごく嫌だな


と自分でも打っていて切なくなってしまい、外を見ると



















夕立。