朝、起きる。

寝たのか寝てないのかわからない。

 

でもシンゴは起きない。

死んじゃったもんね。

 

シンゴをボーっと見ていた。

 

今日の夜はお通夜か。

みんなが来てくれるんだね。

最後だしね。

みんなにシンゴの姿

みてもらおう。

 

みんなに・・・みて・・・

 

ちょっと待って。

 

髪、長くね?

 

なんか、おっさんっぽくね?

 

美容院の予約をしているくらいなんだし、

髪、伸び放題になってんじゃん。

 

私はシンゴの親友に電話をした。

 

「シンゴの髪が長すぎて嫌だ。

お願いだから、

切って格好良くして欲しい。」

 

またまた勝手なお願いをする。

 

親友は

 

わかった。

昼頃家に行くから。

カットしてやる。

 

と引き受けてくれた。

 

朝から弔問客は続く。

 

義父母の友人。

(こんなに早く

息子さんを亡くされて・・・)

 

近所の人。

(あんなに元気だったのに)

 

そして私のママ友たち。

 

シンゴは子供たちが小さい時から

保育園や学校の行事には

ほとんど参加していた。

 

また、共働きだったため

 

保育園の送り迎えやら

児童館のお迎えやらに

 

仕事が休みの日は

行ってくれてたので

 

「○○ちゃん・くんのお父さん」

として広く認識されている

いわゆる「イクメン」だった。

 

だから私のママ友たちは

ほとんどシンゴとも

会話したことがある。

 

告別式やお通夜に

行けないから

今日来ちゃった。

忙しいのにごめんね。

 

というママ友たち。

 

こっちこそ、いきなりのことだったのに

自宅まで来てくれるなんて。

 

シンゴって人気者だなぁ。

 

なんて思っていた。

 

みんな言葉少なく。

 

シンゴにお線香をあげてくれた。

 

みんな泣いてくれた。

 

そして、私や子供たちを

心配してくれた。

 

なんでも言ってね。

力になるから。

 

ありがとう、みんな。

 

でもそんな言葉もスルーしていく。

それくらいボヤっとしていた。

 

来客も落ち着くと、親友が来た。

 

昨日より更にひっどい顔。

 

髪の毛を切ってもらう。

 

もちろんシンゴは動かないので

寝たままの頭の下に

ビニールを敷いて、

頭の方からカットしてもらう。

 

もちろん散らばる髪の毛。

 

子供たちも一緒にいたので

掃除を手伝ってもらう。

 

私はそんな姿を写真に撮っていた。

 

子供たちがこのことを

覚えているかわからない。

写真に残しておこう。

 

と思ったような気がする。

 

シンゴがカットしている横には

昨日友達が用意してくれた

枕花。

 

そうだった。

 

私とシンゴの結婚式でも

私とシンゴのヘアメイクは

この親友に、

 

会場のお花やブーケは

この友達にやってもらったなぁ。

 

二人とも列席者だったのに

快く引き受けてくれたなぁ。

 

むしろ、やりたい!

と言ってくれたんだっけ。

 

今。

この状況。

 

一緒じゃん。

 

結婚式と一緒じゃん。

 

お花用意してもらって

カットしてもらって。

 

「結婚式と一緒だね。

シンゴの人生最後も

二人に色々

やってもらうなんてね。」

 

と言うと

 

「泣かせることを言うな」

 

と静かに親友に怒られる。

 

カット終わって帰る時に

 

「今までで一番

やりたくない仕事だったな」

 

と言っていた。

 

ごめんね。

 

でも、やっぱりカットしてもらって良かった。

 

だって、かっこよくなったもん。

 

いつものシンゴになったもん。

 

もう、最後だし。

 

最後くらい。

かっこいいシンゴを

みんなに会わせたいし。

 

ありがとうね。親友。

 

昼過ぎ。

 

シンゴが葬儀会場へと

運ばれる時間がやってきた。

 

 

 

 

汗死別した人と共感したい汗

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