メリークリスマス!
なーすほるんけーふぁーです
今日はクリスマスぬいぐるみ物語
『エピローグ』をお送りします。
最後の二人が仲良くなったのを見届けると、自分の体が光に包まれて、元のアパートに戻って来た。
「お帰りなさい。雪樹斗。ご苦労様。
勇気と希望と愛が見事に育まれ、願いの力がたまったのだわ」
「やっと人間に戻った…」
「あなたは意外と人望あるのね。
昨日と一昨日、会社の同僚という女性が二人来て、お節介を焼いて帰ったわよ」
「えっ?だっ、誰ですか?」
「一人目はあなたの女課長。もう一人は新人女子」
「どっちが好みなのかしら」
くすくすと手を口に当てて笑っているフリーデリーケさん。
「えっあっそのっあっ!」
「優柔不断はみっともない。はっきり言う時は言う方が男らしくてよ」
フリーデリーケさんは荷物をまとめるとパラソルを待って窓枠に腰掛けた。
「それでは、長くお邪魔したわね。
あなたの恋愛成就を祈っているわ」
「いえ、なんだか自分もたくさんの人と出会って色々勉強させてもらいました。だから今は感謝してます! それと、メリークリスマス」
「ええ、メリークリスマス」
フリーデリーケさんは柔らかい口調で答えた。
自分はふとカレンダーをチラ見して結局クリスマスまで本体は会社を休んでしまったと気がつき申し訳なく感じた。
「雪樹斗、言い忘れた事があるわ。良いかしら?」
「何なりと」
「今日も自分は良い漢って鏡の前で毎朝3回唱えなさい。
そうすればきっといい漢になってゆくのだわ」
「わかりました。もちろん毎日鏡を見てますよ」
「見るだけじゃダメよ、観察するの。そうすれば自分の小さな変化にも気がつくのだわ。
男は身だしなみ、清潔感よ。
もっと胸を張りなさい
そうすれば運が開けるはずなのだわ。OK?」
「お、おっけい!」
お互いに親指を立て、いいねを出し合って、そしてフリーデリーケさんはパラソルを開く。
そして窓から飛び去っていった。
ふっと部屋が寂しくなった感じがした。
スマホのなかにある会社の忘年会の時撮られた写真に写る自分。
その時の顔と今の顔はもう違っているはずだ。
勇気と希望と愛
彼らと関わったことによって、また自分も成長できたのだろう。
今年のクリスマスは不遇にも平日であったが、夜になれば騒がしくなるはず。
「さて、行くか」
久々の本体の出勤だ。
一瞬、幻術人形とかが会社で妙な事をしてないか不安に駆られたが、何があっても前向きに受け入れられるだろう。
俺は歩いて行く。
自分の人生を勇気と希望と愛を持って。
クリスマスぬいぐるみ物語
終わり
拙い物語を最後まで見ていただきありがとうございました。
次回はお正月までの隙間期間。
なーすほるんけーふぁーのイラスト展を開催します。成長の軌跡をどうぞご覧ください。