こんにちは
なーすほるんけーふぁーです。
『エルフリーデの語られない冒険物語』
第六話「ジャイアントスーパーデスキノコ」を
お送りします。
※この物語はフィクションです。
遠距離砲撃を越えてきたモンスター達は、城門を蹴破ろうと突進を繰り返す。
その門の上を守るエルフリーデの父クライス男爵と老兵士達がいた。
「皆の者、頑張るのだ!」
「やれやれ、今夜はキノコ鍋じゃな」
「食あたりを起こすぞ、バター焼きにしておけ」
「何をふざけとる、ほれ、バリスタの矢のおかわりじゃ、はよモンスターにぶち込んでやれ」
アインクランに設置された司令部では、自動砲台の制御が行われ、その被害と戦果が逐一送られてきている。
そこでトナーク市長が脂汗を垂らしてモニターを見ていた。
すでに砲台の25%は失われ、砲撃能力はかなり下がっている。
その分、正門の男爵達の負担が重くなる。
このままでは城門が破られるのは時間の問題だ。
街中の住民の避難はほぼ完了しているが、残りの徒歩避難民をモンスターが蹂躙することなどあってはならないのだ。
「市長!デスキノコが合体してゆきます!」
女性オペレーターが叫んだ。
正面大モニターへ目を向けるとバラバラのデスキノコ達が集まり、巨大な何かに変わりつつあった。
「でかい! なんだあれは⁈」
城壁を遥か越える高さを持つ巨大な山のようなデスキノコになり、襲ってきたのだ!!!
「ンゴ……キ〜ノコォ……」
山鳴りのような咆哮がアインクランの城壁を揺るがした。
ズシーン…ズシーン…ゴゴゴゴ…
ゆっくりとした歩みで進む巨大なデスキノコ、名付けて
『ジャイアントスーパーデスキノコ』は、城門のそばまでやって来て、その重い右手を振り上げた。
「ンゴォ!」
ぶうん!
ボカーン‼︎
体重の乗った鋭いキノコチョップが自動砲台を粉砕した。
「ああーっ!自動砲台がー!!!」
モニターを覗き込んでいたオペレーター達が、一斉に青ざめる。
痛恨な一撃を喰らった自動砲台は、砲身がめちゃくちゃにへし折れ、砲塔が真っ二つに凹み、爆発。
ドカーン💥
「左翼防衛砲台は全滅! 砲撃能力65%まで低下! もうだめだー!」
「何と大きなデスキノコなんだ⁈」
正門でひたすらモンスターを捌いていたクライス男爵であったが、見上げるようなキノコが相手では歯が立たない。
男性オペレーターが頭を抱えた。
「平和と繁栄に満ちていたアインクランが、終わってしまう!」
今までの平和が、いかに恵まれた環境であったか。
だがそれはもう過去のものとなってしまったのだ。
『父さん!エネルギー充填80%!』
その時、中央司令室に少年の声が響いた。
トナーク市長はこの時を待っていた。
最後の秘策、アインクランの希望を。
「ようし、腹八分目だ! DXスペリオルイコノス 発進せよ!」
ゴゴゴゴ…
「左城壁開放…エレベーター上昇…
DXスペリオルイコノスが発進します。
周辺の作業員は退避してください…」
ホアーンホアーン……ガコーン、ウイイイン……
回転灯が回り、城壁の一部が大きく開いてなにか巨大な質量物が地下エレベーターから迫り上がってきた!
それはアインクランの空を覆うほどのゴーレムだった。
その巨体は陽の光を受けて黄金に輝き、全てを勇気つけるかの如くジャイアントスーパーデスキノコと対峙した。
ゴンゴンゴンゴンゴン…
巨体から響く動力音のアルケミックサウンドが心地よい。
スピーカーの大音響の少年の声が響く。
『あーあー、こちらはDXスペリオルイコノスに搭乗しているユンゴです。
足元から半径200メートルに表示される赤い光の線の中には入らないでください。
ジャイアントスーパーデスキノコは僕らが倒します。
ですが、足元を抜けてくる小さなモンスターにまで手が回りません。皆さんには、それらの退治をお願いします!』
「巨大な…イコノス…?」
クライス男爵をはじめ、他の老兵士たちも口をあんぐりと開けて閉まらなかった。
「しばらく見んうちに、でっかくなったもんじゃのう」
ワー!
一瞬のちに士気を取り戻したクライス男爵達は
歓声を上げた。
「よし!小型モンスターは任せろ!
ジャイアントスーパーデスキノコを倒してくれ!」
『任せてください!
行くぞ、DXスペリオルイコノス! 戦闘開始だ!』
ガシーン!!
ユンゴ君の操るDXスペリオルイコノスは、胸の前で両拳を打ち付けると、咆哮をあげた。
『押ーーーーー忍‼︎!』
つづく
次回、第七話『悪夢の襲来』をお楽しみに