11月定期訪問は特養の家族会主催大掃除に合わせてみた。参加者は50人以上はいただろうか、新米ゆえ入居者家族に混じって見よう見まねで活動に参加した。居室、廊下の天井照明を拭き掃除、脚立に登り見渡すと多床室の生活風景や廊下を往来する職員の動きが今までの月例定期訪問時と違って見えた。たった小一時間のボランティアプログラムだが慣れない姿勢の連続に腕が上がらない。汗だくのままでの被後見人との面会となった。受任後1年半にして初めて被後見人の笑顔を見た気がする。掃除後、施設長を交えての大昼食会はさすがに辞退し帰路に着いた。
 受任時、職業後見人として施設入居者家族会に入ろうかどうか考慮したが、皆と同じようにしてほしいという彼女(被後見人)の意向を取り入れた。成年後見制度の中心理念「意向の尊重」は後見類型の場合に軽んじられる傾向がある。包括的代理権は強大な権限であるが本人を支配するものではない。少なくとも本人の意向が慮られなければならない。家裁向けに年会費5,000円也の支出根拠を思案しつつ、旧型特養という限られた空間での彼女のくらしについて考えた日曜の午前であった。