回想
父との同居(独居の始まり2011,11)

父の一人暮らしの当初、食べ物には事欠かなかった。
ご近所が届けてくれる料理は、心のこもった手作料理ばかり。
父は腐る寸前まで冷蔵庫に保管した。
2合ほど飯を炊き2日かかりで食べる。
炊飯器はガス釜。
冷めた後はボウルに移し食べられる分だけレンジでチン。
おかずは週三回のヘルパーが作る一品、プラスご近所からのいただきもの。
帰省のたびに冷蔵庫に控えている料理はその地方のまさに家庭料理。

「おめもくえ」

月2回、1~2泊の私の帰省。
父の約2日分のおかずのヘルパー料理を私がいただく。

ふだん一人の時の父はどうしているか。
5時頃、朝一番に汁を作る。
麻痺痺のない左手で包丁を握り、具材を切る。
具材はナス、ねぎ、玉ねぎ、ジャガイモ。ともかくそこらにある野菜1、2品。
出汁を効かせる。
ダシの素は顆粒のほんだし。
この地域では当たり前なのか、塩、砂糖と同じような分量で「ほんだし」が器に入っている。
手鍋に具材を入れ火にかけたら、その間に炬燵の豆炭の準備にかかる。
豆炭をいこして火入れで運ぶまで全て麻痺のない左手でおこなう。