再雇用:60歳からのハローワーク、若手にアゴで使われる現実 -「定年後の5大爆弾」の正体【4】 | nasmksのブログ

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(プレジデントオンライン)

PRESIDENT 2012年1月16日号 掲載

若い世代にも「老後心配性」は多い。しかし、実態がわからないものに不安になるのはナンセンスである。その正体を見据えながら今できることを考えてみよう。

若い頃は給料日前になると財布がさみしくなり、「うちの会社は給料が安い」と嘆く日々だったのではないだろうか。だが年功序列型賃金制度によって徐々に給料が増えて、気がつけば高給取りに……。不況が続く今は実感がわかないだろうが、確かに若手に比べれば給料は多い。「それは日本の雇用環境も一種の賦課方式だからです」と社会保障論が専門の学習院大学?鈴木亘教授。

「若手のときは、働きに見合わないくらい低い給料に甘んじなければならないが、中堅からベテランになると生産性が落ちてくるのに給料は高くなる。つまり若い世代が中高年を支えているわけです」。

だが定年を迎えると立場は一気に逆転する。定年からの空白の期間に働くかどうかで、老後のキャッシュフローは大きく変わる(図9、10)。

では、60歳以上の雇用の現実はどうか。06年に施行された改正高齢者雇用安定法によって、企業には(1)60歳定年制度を引き上げる、(2)継続雇用制度を導入する、(3)定年制度を廃止する、の3つの選択肢が用意された。

定年延長?継続雇用では多くの場合、60歳時の地位や給料がそのまま延長されるわけではない。国家公務員の定年延長に向けて人事院がまとめた新人事制度の素案では、60歳超の給与は年収ベースで50代後半より約3割削減され、60歳になると管理職を外れる役職定年制も導入され無役となる。ただこれは公務員という恵まれた雇用条件のもとでの話であり、不況に耐えている民間の会社では厳しい状況が続いている。厚労省の11年「高年齢者の雇用状況」によれば、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は47.9%(70歳まで働ける企業の割合は17.6%)と半数に満たない。また継続雇用も万全とは言えず、過去1年間に定年を迎えた43万4831人のうち継続雇用された人は32万71人(73.6%)だった。また年収も公務員のように現役時代の3割削減など夢の話で5割から7割削減されることを覚悟しなければならない。

さらに定年延長?継続雇用には「厳しい現実が待ち受けている」と老後のお金に詳しい経営コンサルタントの岩崎日出俊氏。例えば大手銀行の定年退職者が系列のクレジット会社で雇われたものの、働く場所はその子会社の債権回収業者で、毎日返済遅延者に督促の電話をかけさせられるケースもあるという。あるいは60歳以上の社員がだだっ広い部屋に集められ、単純作業を延々とさせられるといった話も。「現役時代のように65歳まで楽しく働けるという話は聞いたことがありません」(岩崎氏)。

それでも定期収入が得られる人は幸せだ。「高齢者がハローワークに行っても求人がないというのが現実です。各市町村の『シルバー人材センター』に登録しても1日、2日単位の軽作業が中心なので賃金もわずか。とても生計を立てることはできません」(岩崎氏)。

では定年制度廃止はどうか。「企業の立場では理想的」と経済評論家の山崎元氏はいう。社員の立場でも定年がなくなれば体力が続く限り働けていいと解釈しがちだが、実は逆だ。定年を廃止すれば、会社の基準に合わない社員をいつでも辞めさせることができるので、人件費がコントロールできて人材の流動化も進む。

仮にそうなった場合、「第2の人生をどの辺からどうスタートするかということを、現役時代の早い段階から考えたほうがいい」と山崎氏はアドバイスする。

「例えば起業するつもりなら元気で無理の利くうちに環境を整えておく。老後は蕎麦屋をやりたいという夢があったとしても、63歳から蕎麦打ち教室に通って65歳で開店するというプランでは成功するわけがない」

それでも起業して大成功というケースは稀で多くの場合、会社員時代の2倍も3倍も働いてようやく人並みの収入になる。「それでも年金も含めて複数の収入の可能性を手にしていることは経済的にも安心だし、好きな仕事であれば働くことも苦にならないはずです」(山崎氏)。

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インフィニティ代表
岩崎日出俊

1953年生まれ。日本興業銀行、J.P. モルガンなどを経て現職。著書に『定年後 年金前』など。


経済評論家
山崎 元

1958年生まれ。12回の転職を経て現職。専門は資産運用。著書に『お金とつきあう7つの原則』など。

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(ジャーナリスト 山本信幸=文 向井 渉=撮影)