彼女の家には、破れてボロボロのブーツが置いてある。
それは、常に食卓の椅子の上に置いてある。
その異様な光景は、いつの間にか私にとっても当たり前になっている。
私はそのブーツを一目見、少しばかり緊張感を感じた。

幼い頃、彼女に1度聞いた事がある。
どうして履き潰したブーツを食卓の椅子の上に置いているのかと。
彼女は言っていた。この1足のブーツは家族なんだと。この2つは、彼女にとって両親なのだと。
私は目を丸くした。
彼女の言ってる意味が分からなかったのだ。
人間でもない、ましてや生きてもいない物が両親なんてありえない,,,。
そんな私に、彼女はこう言った。
このブーツは、私を傷つかない様に守り、寒くない様に温めてくれ、いつも一緒にいてくれたと。貴女の家族と何が違うのかと。

彼女は、もう使えないブーツを未だに大切にしている。
その姿に罪悪感が心を燻る。