2024年1月2日の羽田空港のJAL機と海保機の衝突事故をニュースで見て、驚いたことがあります。


鉄道は列車同士の衝突を避けるため、「閉そく方式」という制御システムを用いています。線路をいくつもの区間に分けて、一つの閉そく区間に1編成の列車しか進入出来ないように、各閉そく区間の始点に信号機を設け、先の閉そく区間に列車がある場合は、停止信号を現示する方法です。もちろん、ヒューマンエラーで信号を見落としたりすることも想定して、列車を自動的に停止させたり、減速させたりする仕組みも組み込まれています。


普段、鉄道の警備現場で働いている私にとって、閉そく方式というのはあまりに当たり前で列車の安全運行上不可欠なものですので、空港の滑走路も同様の仕組みになっていると思っていました。


ところが、空港の管制オペレーションは、簡単に言うと、

「入っていいかな?」

「入っていいよ」

「入るよ」

という無線のやり取りのみで、超過密なフライトスケジュールを捌いているのです。


よく今まで事故が起きなかったなと思い、運輸安全委員会の事故調のレポートを調べてみると、一つの滑走路に複数の飛行機が進入または侵入しそうになった重大インシデントが、2022年度だけで4回発生していました。


事故は防ごうと思えば、防げたのではないでしょうか。ヒューマンエラーの発生を前提とした安全確保の仕組みが導入されるべきだと、強く思います。


そしてそれが、災害救援という尊い業務に向かおうとして事故に犠牲になった方々へのせめてもの償いになるのではないでしょうか。