ブログには書かずにいましたが、昨年末に甲状腺機能亢進症=バセドウ病と診断されました。

 

病気の知識がなさすぎて自分でもあきれるけど、かといって熱心に調べたり勉強するのは苦手。

素人判断であーだこーだ考えても仕方ないとも思うので、ブログに書くつもりはなかったんですけど、どんなことも文章にしながら頭の中を整理するというのを習慣としてきたので、書かずにいると何か重大なことを放置したまま過ごしているような心地悪さとか心もとなさがあって、やはり記録として書き残しておこうと思った次第です。

「2024年は思いがけない病気と向き合った1年だったな」と、あとで思い出すことになるのでしょうから。

 

それにしても、一昨年のちょうど今頃は急性腎盂腎炎で入院し、その前は2回のアキレス腱断裂、左手首の骨ヒビ・・・と、この数年なにかと災難続きです。

まあアキレス腱と手のケガは自分の不注意のせいですけど、腎臓については要因となるものが最後まで判明せず、なんとなくモヤモヤします。

そして、腎臓機能は元通りにならないまま低空飛行が続いて、今も定期的な通院はしています。

さりとて特にどこかが痛いとか体調が悪いとかいうこともないのでごく普通に生活していて、自分が病人だったことなど忘れかけて慢心しかかったころ、何かの戒めでもあるかのように、新しい病気に見舞われたのでした。

幸いにしてさほどめずらしい病気でもなく、治療法はすでに確立されているので、バセドウ病と診断されて以降は専門医の指示に従って粛々と、まあ自分にとってはすべてが新しい体験なので、説明はしっかり聞いて疑問があればおバカなことでも臆せず質問しつつ、治療を進めています。

そういえば昔は「バセドウ氏病」と言ってましたよね。愛読していたブラックジャックに出てきたので病名は知ってました。バセドウさんという人が発見したのでしょうが、いつから「氏」をつけなくなったのだろうか?・・・まあどうでもいいけど。

 

バセドウ病の治療はまず投薬から始まります。

甲状腺ホルモン値を下げるための薬を内服するのですが、薬は二種類あって、医者のざっくりした説明によると、

① 効き目が強いが副作用が出やすい(メルカゾール) 

② ①より効き目が弱く肝機能障害の副作用が出やすいが①が効かなかった場合に使用する(チウラジール)

ということです。

まずは①の薬から始めました。

飲み始めて数日で、動悸や息切れ、体のダルさなどがどんどん改善されていき、「はぁー治るもんなんだなぁー」と楽観しはじめた頃、突然、肝機能が低下しました。

これは血液検査でわかったことで、本人に自覚症状はまったくありません。

激烈な痒みが出る場合があると脅されてましたが、それはなかったのですっかり安心しきっていたのでした。

飲み薬が体に合えば半年ほどで緩解(バセドウ病は甲状腺があるかぎり完治することはない)するそうなので、それがいちばん理想的だったのですが、やむなく内服中止です。

2週間ほど肝臓の薬を飲み肝機能低下を改善させてから、次の②の薬を開始しました。

順調かと思われましたが、飲み始めて1週間ほどたったころ、手の甲あたりになんとなく痒みとむくみが出始めます。

気のせい気のせいと必死に思い込もうとしましたが、痒みはお腹や足にひろがっていき、足先に到達したころには足全体がパンパンに腫れて、上半身はお腹から背中、腕、首、耳、そして頭皮まで余すことなく。

①の薬で出ることが多いと言われている激烈な痒みの副作用が、私の場合は②で出たわけなのです。

眠ることができないほどの痒さというのを初めて経験しました。

虫刺されの痒さなら対処の仕方もわかりますが、薬の副作用による痒さには出口があるのだろうか?掻くのをガマンしてれば治るのか?ガマンに意味はあるのか?・・・いや、なかろう、だって副作用なんだから。

ガマンに意味がないなら、思う存分掻いたほうがまだ気が収まるというもの。

うぉぉぉぉ掻いて掻いて掻きまくってやる~~~

頭を掻きむしって髪はボサボサ、あまり良くない気はしつつも一時的な爽快のためにキンカンをところかまわず塗りまくり、眠れないので常にボーっとして集中力も思考力も消失し、痒みってほんと、人格を崩壊させますね。

・・・という地獄の数日のあと、内服薬のアレルギーというのは下手すると内臓にまで発疹が出る場合もあるのでただちに薬中止。

診察日まで律義にガマンしてたのでしたが、なぜもっと早く言わないのかと叱られました。

当然ながら肝機能も悪くなっていました。

で、薬をやめてから三日ほどで徐々に痒みは引いていきましたが、いちばん最初に発疹が出始めた手の甲には黒いシミが残りました。たぶん最初から最後まで掻きむしっていたせいもあるんでしょうけど。

 

さて、これで①の薬も②の薬も敗北したわけです。

ん?敗北?・・・私が敗北したのか、それとも薬が敗北したのか、よくわかりませんが。

「とにかく、これで、アナタは薬では治せない人だ、ということがわかったわけです」と、先生は厳かな声で宣告しました、はい。

ということで、次に行くのです。

一気にステージが変わった感じがしました。

 

次なるステージでも選択肢がふたつあります。

① アイソトープ

② 手術

アイソトープとは放射線を出すヨードを飲んで甲状腺のダメなところを放射線で抑えるという治療方法(ヨードは甲状腺に集まる性質がある)。

手術は、甲状腺そのものを切除してしまうということ。

この選択肢はけっこう悩みます。

まず放射線というものに言い知れぬ恐怖と嫌悪感が・・・。

かといって、いきなり手術ってのもねぇ・・・ホルモンを作り出す機能がある甲状腺を切除してしまったら、その後はホルモンを補う薬をほぼ一生にわたって飲み続ける必要があるらしい。体が生きるためには必要なモノなんだね、ホルモン。

さすがの私もここに至って少しは勉強せざるをえなくなり、病気のこと、経験者の手記など、ネットで探しては読みまくりました。

あと、親しい友人知人と近況報告ついでに話題にしてみたところ、じつは意外に身近なところに同病の人が複数いたのを知ったのでしたが、切除手術をしたという人が1人、あとはみんな投薬だけで緩解しています。

いずれも症状がなくなると病気のことなどすっかり過去のことで「そういえばそうだった」という程度の扱い。

治療中どうだったか、症状が激しい時はどうだったか、などいろいろ聞いてみたいんですけど、喉元すぎれば記憶はほぼない状態なのです。

まあ私もいずれそうなるのだと思えば希望が持てますが。

それにしても、本人が忘れてもその家族や周りの人のほうがむしろその病気を衝撃を持って強く記憶しているのが印象的でした。

そういう人はたいていブラックジャックの愛読者であることも(笑)

 

私の現在は、甲状腺の動きを抑える効果があるというヨードの丸薬(ヨウ化カリウム丸)という正露丸そっくりな黒い粒を毎日1粒飲んでいる以外は何もしていないのですが、バセドウ病の典型的症状である動悸、息切れ、異常な発汗等は、あるにはあるけど、もともとの体質だと思えばそう思えなくもない程度で、体調は落ち着いている気がしています。

新品の草刈り機で嬉しがってガンガン草刈りしたり、気が向けばたまにウォーキングもするし、のりしおの散歩はもちろん、そうそう、迷い犬を保護していた時には犬の散歩もしてました。

先日の金沢ではホテルから展示会場まで毎日歩き、兼六園一周とさらに遠くの博物館まで行って、夜は良さげな店を探して飲み屋街もブラブラしたし。

このままさりげなく治ってしまうんじゃ?と、かすかな期待もしちゃってますが、これは抑えているだけで、根本的に病気が治っているわけではないんですよね。

ヨード丸薬はエスケープ現象といって急に効き目がなくなる時がくるらしい。

バセドウ病を発症した当初は、自宅の階段を登るのに苦労するほどで、少し歩いただけで息切れして立っていられないほどでした。

あの辛さが再び、それも突然やってくるのかと考えると恐怖です。

恐怖におびえながらも呑気なモラトリアム期間を過ごしていましたが、そろそろ決断しないといけない時期なんです。

で、考えて、考えて考えて考えて、アイソトープをやってみようと思いました。

これはそのための設備が整った病院がないとやれないことですが、県内に二か所その病院があり、そのうちの一か所は比較的近くて行きやすい場所にあります。

今の主治医が紹介状を書いてくれて、じつは昨日、説明を聞きに行ってみたところです。

考えてみれば当然ですが、アイソトープは放射線科です。

いつでも「やっぱりやめます」と言えるので、事前に必要な検査は着々と始めていきましょうということになりました。

 

この病気はよく知られている病気で、治療方法が確立されているとは言っても、どの治療を選択するかで専門の科が違っていて、内科から始まって、内分泌科、今診てもらっているのは甲状腺癌の専門の先生で、外科医であることを最近知りました。で、それぞれの先生は自分の専門以外の治療についてぜんぜん詳しくない。病気については知られていても、この病気を全体として?俯瞰的に?診てくれる科はないんでしょうかね?

そこはかとない「たらいまわし」感を感じつつ、でもまあ、この病気を抱えた人はきっとみんな、次の治療を求めて自分の足で歩いて行かねばならないんだな。

初めて行く放射線科は、それでなくても病気経験値の低い私が、今まで経験したことのない、なんともいえない空気でした。

そこで感じたこともちゃんと記しておきたいので、ブログに病気のことを書くことにしました。