【易経】中して化する~自分の力だけでは物事は成就しない | 学びの冒険者 原口直敏Side←L "The Logical Brain Monster"

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学びについて語り合おうじゃありませんか!



■陰と陽の両方が無いと物事は成就しない


「中(ちゅう)して化する」


これは、如何に物事を成就させるかを
陰と陽の観点から説いた言葉です。

中するとは、その時、その状況で
適切に働きかけること。
適切な時期に種を撒くように。
自分から行動する側、発する側。
これは陽の働きです。

化するとは、変化させること。
種が育って花を咲かせるように。

そのまま受け入れて、
包み込んで変化させる側、育てる側。
これは、陰の働きです。


つまり、何かを成就させるには、
陰と陽の双方の作用が必要だという訳です。



■始まりは陽からだが・・・

「中(ちゅう)して化する」と言うくらいだから、
最初に中することが必要ですね。

言い換えると陽の要素が必要なのですが・・・。

ただ、行動するだけでは物事は成就しないのです。

中するという言葉の意味を
もう一度振り返ってみましょう。

その時、その状況で
適切に働きかけることです。

この定義から二つの要素を読み取れます。


1.働きかける対象があると言う事

2.適切なタイミングがあると言う事


働きかける側が陽だとすると
働きかける対象、
つまり働きかけを受け入れる側は陰ですね。
農作業で言うと、それは大地、土壌だったりします。

そして、種を植えるには時期があり、
その時期を外しても駄目だということです。


それがどんなに良い種、
良い働きかけであったとしても
働きかければ良いってもんじゃないわけです。

働きかければ良いって態度は
自分勝手とも言えるでしょう。
どんなに努力しても自分勝手な努力は実らない。

そういう自分勝手な努力をしてしまうのは、
何かを成就させるのは陰と陽の共同作業だということが
分かっていないからなのです。

男だけでは、子供は作れないですよね?



■陰の作用は物理法則を超える

目の前の種が突然花に変わったら、
それは奇跡と呼ばれます。

陰の作用はまさにこれ。
種を
そのまま受け入れて、
包み込んで育てる。
ただし、時間をかけて。
物理変化ではなく化学変化に近い作用を
陰は機能として持っている。

その間、陽は本質的に何もできない。
雑草をむしったり、手入れをしたり、
そんなことは出来るかもしれない。
けれど、種から花をつけた植物に育てるのは、
大自然の陰の作用以外は出来ない。


じゃあ、陽って実は無力なのか?


そんな事はありません。

----- 修正ここから 2013.04.09 by N.Haraguchi
陰には受け入れるものを選択することが出来ない。
準備が出来ているから早くくれと要求することもできない。
主導権は陽が握っているのです。

つまり、あなたが陰の立場に立った時は、
準備をして待つ事しか出来ない。
与えれらたものを望んだ形に変えて返すのみです。

陰は陽から受け取ったものを育てる訳ですから、
やはり陽は必要なんです。
陽が何かを発しなければ、どうしようもない。

しかし、何を発するか、いつ発するかは、
陽が勝手に決める事はできない。
陽にそこまでの主導権は無いわけです。
いや、勝手に発することは出来ますが、
陰の協力が得られないものは成就しません。
化する働きが得られないのですから。
----- 修正ここまで 2013.04.09 by N.Haraguchi



■陰と陽を色々入れ替えて考えてみる

ここまでの話を、
様々なものに陰と陽を当てはめて考えてみると
新しい視点で見ることが出来ます。

女性と男性
部下と上司
子供と親

みな、陰と陽です。


注意すべきなのは、
状況によって陰と陽は
簡単に入れ替わると言うこと。

立場から見ると
部下は陰で、上司は陽です。

上司が適切に指示して、
部下がそれを実現する。

ですが、育てるとなると話は逆になります。

育てると言うことは、
適切な行動をとれるように成長させることだから、
行動の主体は育てられる側になければならない。
つまり、育てられる側が陽。
すると、育てる側は陰にならないと
機能として喧嘩してしまう。

ただ、育てる対象の部下が中する対象は
上司だけではなく
また別の陰が主になるはずです。

さらに、部長は社長に対しては陰ですが、
部下に対しては陽。
そういう意味でも、陰と陽は動的に変わります。



高尚な哲学としてだけではなく、
実際に使えるノウハウとして
易経を使ってみては如何でしょうか?



学びの冒険者 原口直敏