【相関関係】は必ずしも【因果関係】にはなり得ない | 学びの冒険者 原口直敏Side←L "The Logical Brain Monster"

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学ぶための方法や時間活用術、戦略、Tips、実績等々。
苦手な人も、得意な人も、必要に迫られちゃった人も、
学びについて語り合おうじゃありませんか!


こんにちは。
学びの冒険者 原口直敏です。


さっそくですが、学びや成長をストップさせる主な原因の一つは
いい加減な【因果関係】を信じてしまうことにあります。


良く言われる俗説(と僕は思っています)の一つに
20歳前後をピークに記憶力は衰えるというものがあります。


一般的な被験者を対象に統計をとったところ、
年齢と記憶力に前述のような【相関関係】が認められた
と言うのは事実でしょう。
念のために書くと、統計処理で可能なのは【相関関係】の【推定】であって、
【因果関係】については【推定】する事すらできません。
統計結果の【考察】から、初めて【因果関係】の【推定】が得られます。


話を戻しましょう。


ここで採用している被験者が
大体以下のような人たちで構成されていると仮定しましょう。

1.学歴は大学卒業
2.サラリーマンとして企業に就職
3.いわゆる適齢期で普通に結婚


高校生以下の被験者はまだ大学に行くかさえ決まっていないかもしれませんが、
このようなコミュニティーにいれば普通に大学に行くつもりの人がほとんどです。
するとですね、人生設計の中で大学入試と言うものが一大イベントなわけです。
これをクリアするためにほぼ全員がコンディション調整をしてきます。
そして、大学に入ったら新しい環境に適応する必要がある。
そして、次のイベント・・・就職に対応するために必死に頑張る。


タイミング的に20歳前後が能力のピークに達するのは
脳の可塑性を考えるとかなり当たり前なわけです。


さて、就職しました。
大半の人はここで安心する。
勉強と言っても、大学入試の頃ほどはやらない。
忙しさは学生の頃とはけた違いですからね。

この状態では、こと記憶に関しては能力が下がるのが当たり前です。
使わない能力は衰える。


つまり、これらの統計で一般的な被験者を採用すると
年齢以外の要因が大きく違い過ぎるのです。


例えば、死ぬまで研究や発明、発見を続けているエジソンのような人物や、
一生勉強なんか無縁な人を被験者にするなら、
その統計結果から【因果関係】を【考察】することが出来るかもしれません。
或いは、ベンチャー企業を経営していて、
能力低下=破産な人のみを被験者にするのも良いかもしれません。


少なくとも僕には、現在の年齢毎に環境が大きく異なり過ぎている
被験者の統計情報から年齢と記憶力の【因果関係】を【考察】するに足りる
根拠を見出せません。
ましてや、単純に【因果関係】を信じ込むことはナンセンスでしかありません。


老化を否定するつもりはありませんが
【事実】以上に過信するのもどうかと思います。


そこを信じちゃう人は、そこで学習も成長も止まってしまうと思うのです。


あなたが会社員だとします。
起業しようとしたら止められました。


「起業してもほとんどの場合失敗するんだからやめた方が良い」


そこであなたはどう考えるか?


「いや、僕は必ず成功してみせる」


この姿勢の良し悪しは置いておいて、
思考という面から見ると起業を止めた人と同じくらい何も考えていない。
起業を止めた人は漠然とはしているけど
インフォメーションをくれたと考えてみましょう。


「起業してもほとんどの場合失敗する」


なら、具体的にその数値は?
どういう人が、どういう環境で、どういう計画で
失敗なり成功なりしているのか?
そこで言う成功なり失敗の定義は?


プラス思考教の信者から見たら一見マイナスだらけのアドバイスが
リスク回避の対策案の宝庫につながります。
ぶっちゃけ、この程度の事に答えられなくて起業するのはどうかと思います。


仮に【起業】→【失敗の確率が高い】と言う相関関係は存在するかもしれないけれど、
それは必ずしも【因果関係】ではない。
そこに【因果関係】と言う幻想を見ると、そこで思考が止まってしまう。


そもそも思考にプラスもマイナスも無いわけで、
プラスとかマイナスとかがついた時点で
それは思考ではなく信仰なり信念に近くなってしまう。
信仰なり信念なりを持つのは悪い事じゃないけど、
思考とごっちゃにしちゃいけないと思うのです。


信仰なり信念はあたなが求めるもので、
思考はそれを実現するための道具です。



学びの冒険者 原口直敏